over extended.

「おはよう?」


「え、まだ寝させてくれよ」


「おはよう」


「俺はまだ眠いんだけど」


「あむっ」


「いだだだ。んもう。そこを噛むな。ちぎれたらどうするんだ」


「おはよう?」


「おはよう。延々と懇ろにされて、俺は眠いよ」


「もっと」


「もっと?」


「うん。もっと。もっともっと」


「かんべんしてくれ。ちょっとは休ませてくれないと。さすがにしんどいぞ」


「だめ。午前四時になったら、あなたはわたしの心を拾うの。かならず」


「あ。そっか。もう午前四時か。一晩中懇ろにしてたわけだ。そりゃあ眠いな」


「もっと」


「おいで」


「うん」


 耳許に。息。


「俺を、寝させてくれよ」


「ひい」


「よし。これでしばらくは動けないね。おやすみ」


「うう。おかしいな。耳に扇風機当てて対策したのに」


「俺の声と息限定なんだね」


「うう。寝ないで」


「ぐぅぅ」


「ああ。あなた。寝ちゃった。んもう」


 朝陽に照らされて。


 抱き合って眠る夫婦。


 午前四時。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

心の欠片 春嵐 @aiot3110

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ