第3話:柳生三厳1

 柳生三厳、小説や時代劇では柳生十兵衞と呼ばれる事の方が多いだろう。

 一六〇七年生まれの十兵衞は、家光よりも三歳年下となる。

 一六一九年に十三歳で家光の小姓となっていた。

 一六二一年、父親の柳生宗矩が神聖な道場で家光の調教を始めた時に、見張りと後継者を兼ねて、十五歳で稽古に参加することになったのだが、それは参加というよりは相伴と言った方がいいモノだった。


「もっと、もっと強くして。

 もっと激しく、もっと激しく抱いて!」


 まだ大人になりきっていない十兵衞には、信じられない光景だった。

 形だけ初体験は済ませていたが、性愛に関しては初心者もいいところだった。

 まして男と女の性愛ではなく、男同士の性愛だ。

 いや、十兵衞の小姓に上がる以上、主君から衆道の相手を命じられる可能性は、父の宗矩から言われていたし、知識もそれなりに持っていた。

 だが眼の前の光景は、その知識を根底から討ち破るものだった。

 いえ、坂部五右衛門の事を知ってるだけに、心臓を鷲掴みにされるような、恐怖と痛みがあった。


「何をしている、十兵衞、家光さまの前に立たないか!」


 父親の宗矩に厳しく叱責されて、震える脚を叱咤激励して、何とか進んだ。

 だが十兵衞の脚が震えるのも当然で、眼の前で主君家光が四つん這いになり、その後ろから父親の宗矩が激しく腰を使っているのだ。

 しかも家光の口には、宗矩が両端を持った手拭いを咥えさせられている。

 どう見ても主従の立場が逆転しているのだ。

 それほどの大罪はなく、露見すれば間違いなく親子で打ち首となり、柳生家は断絶させられることになる。


「家光さま、愚息のモノを咥えてやってください。

 家道さまの大好物でございますぞ、丁寧に舐め清めてやってください」


 頼んでいるような言い方だが、実際にはこれ程不敬な事はない。

 自分は主君の後継者の、次代の将軍の尻を犯し、その上で次期将軍に自分の息子の逸物を舐め清めさせるのだ。

 柳生家の跡継ぎとして、柳生新陰流の後継者として、幼い頃から厳しく鍛えられてきた十兵衞ではあったが、弱冠十五歳でこの体験は衝撃的過ぎた。

 戦国乱世に地獄を見てきた宗矩と、まだ人を殺してもいない十兵衞では、道場剣術はともかく、根本的な胆力が違っていたのだ。


「舐めさせて、しゃぶらせて、十兵衞」


 主君の命令に、十兵衞は金縛りになったように動けなくなった。

 その十兵衞の袴を、尻を激しく犯されている家光が逃がしていく。

 無理な体勢の苦しみすら、家光には甘美な快感だった。

 十兵衞のモノを先から徐々に舐め、袋まで舐めた後で一気に咥えた。

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