第2話:柳生宗矩1

 柳生宗矩、時代劇などでは柳生但馬守と呼ばれる事の方が多いだろう。

 父親は、上泉信綱から新陰流の印可状を伝えられた、剣術家として有名な柳生石舟斎宗厳なのだが、石舟斎は隠田のが露見して先祖代々の領地、柳生庄を失った。

 石舟斎は関ヶ原の戦いで徳川家康にに味方して、豊臣秀長に没収された柳生庄二〇〇〇石を与えられた。


 一方柳生宗矩は、徳川秀忠の剣術指南役となり、戦傷の残る兄を差し置いて柳生庄を継ぎ、一〇〇〇石を加増され三〇〇〇石大身旗本となった。

 大坂の陣では将軍徳川秀忠の軍に配され、徳川秀忠を殺そうと襲いかかって来た、豊臣方の武者七人を瞬く間に斬り殺している。


 一六二一年、坂部五右衛門を竹千代時代の家光が手討ちにした二年後、家光が元服を済ませて竹千代から家光に名を改めた翌年、柳生宗矩は家光の剣術指南役となったのだが……


「もっと、もっと強くして。

 もっと激しく、もっと激しく抱いて!」


 家光と宗矩以外誰もいない神聖な道場で、家光は尻を差し出して哀願していた。

 家光にとって宗矩は強さの象徴だった。

 父のように、将軍として表では威厳を示すのに、奥に入れば母の言いなりになる、小心で情けない男とは全く違う。

 剣を持っては日ノ本一の古強者だった。

 そんな古強者に尻から支配されることに、たまらない快感が湧く。


「うっ、うっ、うっ、うっ。

 あああああ、アアアアアア、もっとぉオオオオオ!」


 あまりに激しい声に、流石の宗矩も少々焦る。

 神聖な道場で心身の鍛錬をするという事で、家光の小姓すら近くにはいないのだが、家光の嬌声が余りにも大きすぎる。

 家光が衆道を嗜む事には何の問題もないが、家光が宗矩のネコにされている事は絶対に秘密にしなければいけない。

 坂部五右衛門の手討ちの建前は、家光をネコにしようとした事になっているのだ。


 柳生は関ヶ原で味方しただけの外様旗本なのだ。

 大名旗本には親藩・譜代・外様とあるが、柳生は外様で、将軍家の信任なしには幕府内で生きていけない立場だ。

 そんな柳生が家光の尻を支配しているとバレたら、譜代の旗本はもちろん、親藩譜代の大名家も柳生を潰しにかかる。


 それが分かっている宗矩、家光の声を抑えることにした。

 正常位なら激しく接吻すればすむが、後背位のひよどり越えで責めているから難しいし、ここで徹底的に家光を支配下に置いておきたかった。

 そこで日ごろの鍛錬で使っている手拭いを口に加えさせ、馬の手綱のようにした。

 そして手拭いをひくと同時に深く腰を入れ、激しく責め立てた。

 ついに家光は絶叫を上げて気を失った。

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