ただの転生に非ず。日常と運命が交差する。

すごい勝手なイメージですけど、こういう転生ものって、転生した先で何らかトラブルに巻き込まれたり何やりして、前世から引き継いだチート能力や転生先で得られた謎の特性なんかでガーっとやってパーッとやることやっちまうイメージなんですが……。

本作は違います。すごくざっくり物語を説明すると、妹を追いかけて性別がひっくり返り乙女に転生した兄が、過酷な運命に巻き込まれていく妹のために、友や周りの人々と協力して懸命に動き回る、そんな作品です。

先程槍玉に挙げました「前世から引き継いだ能力」、実はあります。
けれど本作は「前世からの宿命を理解するところ」から始まるので、最初は無力というか、力はあるのに使えない。そんな感じ。

やがて宿命を悟った主人公は巨大な敵、ハロンと対峙する……。

この作品の好きなところは日常パートが丁寧なところ! 
人間関係、恋愛模様、そうした登場人物同士の関係性が丁寧に描かれているので、本当にこういう人たちがこの世界のどこかに生きているみたいに思えます。そしてそんな人たちが、前世からの宿命に立ち向かっていく姿は圧巻というか、手に汗握るというか、とにかく読んでもらわないとこの「リアル感」や「ワクワク感」は伝わらないかもしれない。

日常パートにもバトルパートにも、それぞれ素敵なシーンがたくさん。
僕はこの作品の中で好きなシーンがいっぱいあります。
あなたも好きな場面を見つけに行くつもりで、本作を読んでみてください。

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