しにがみさん

「みよちゃん、いらっしゃい」

「あなたはだぁれ? わたしが見えるの?」


 いつからとなりにいたのかな? 黒色のふく、きれいだな。


「死神だよ。みよちゃんが中々川を渡ってくれないものだから、心配していたんだよ?」

「しにがみさん? 川をわたるとどうなるの?」

「深い深い夢に連れていってくれるのさ」


 ゆめはすてきだよ。ママとパパとあそべるもの。なんでもかなえてくれるもの。


 この川は、すてきな川だね。


「ママとパパ、みかちゃんはわたってこれないの?」


 四人ですてきなゆめを見て、いっしょあそびたいな。


 あぁ、でも、三人にはわたしは見えていないから、ダメかな?


「あの子たちはまだ三途の川は渡れないよ。まだ、体があるからね」

「さんずの川は、この川だよね? わたしは、からだがないんだね」

「うん、その内みんな渡って来るさ。それまで一緒に遊ぼうね」

「うん、しにがみさんとあそぶ」


 それからね。しにがみさんはわたしがやりたいこと、ぜ~んぶやってくれたんだ。


 ママとパパがおむかえに来るまで、あそんでいいんだって。


 ふふ、たのしいな。ママとパパはいつ来てくれるかな。


 そういえば、ゆめはいつ見れるのかな。ぜんぜんねむくならないな……。

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夢の追憶 星々来 @sesera

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