第3話『未知の職業』

「フリード早く降りてきなさい夕飯ができたわよー」


母親の呼ぶ声で、フリードは目を覚ました。

「ん?あーぁ、わかった直ぐに行くー!」

「いつの間にか寝ちゃってたみたいだな、にしても嫌な夢を見たな」


「そういえば、ステータスをしっかりと確認してなかったな、どうせ意味ないだろうけど一応見てみるか」


この世界では、15歳になって職業を授かると、ステータスという自分の職業やスキルが確認できるものを同時に授かるのだ。

基本的ステータスは15歳になって職業を与えられるまで見えず、確認するには≪鑑定士≫の《鑑定》などの人のステータスを見るスキルで調べてもらうしかない。

同様にスキルの効果も《鑑定》などのスキルを持っていないと確認することができない。


ちなみに、フリードも一度協会で鑑定してもらったことがある。その時にスキル《器用貧乏》が宿っていることが発覚したのである。


「ステータス」


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個体名:フリード

種族:人間

職業:≪自由人≫

固有スキル:《器用貧乏》

スキル:《―――――》

ーーーーーーー

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「≪自由人≫、自由に生き方を選べるか…どういうことなんだろう?」


職業は授かった瞬間、原理はわからないがその職業がどういうものか直感的に理解できるのだ。フリードは、直感的に≪自由人≫とは自由に生き方を選べるというモノだと理解できた。

しかし、それがどういう意味なのかフリードはわからなかった。


「ん、なんだこれ」


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個体名:フリード

種族:人間

職業:≪自由人≫

固有スキル:《器用貧乏》

スキル:《可能性の選択》

ーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「なんだこのスキル、さっきは職業に気をとられて見逃してたみたいだな」


「《可能性の選択》なんだそれ?というか最初からスキルがあるなんてどうなってるんだ」


普通は職業を授かった直後はスキルを持っていなく、長い時間をかけその職業にあった行動をしているうちに自然と覚えていくものなのである。


「まぁいいか、どんなスキルなんだろう?でも今は知るすべがないしな、んー気になる使ってみるか?いやでも…いいやとりあえず危なそうな感じはしないし使ってみるか!」


「《可能性の選択》!!!」


フリードがスキルを発動したのと同時に目の前にいくつもの文字の羅列が書かれたスクリーンが出現した。

よく見てみると、それは膨大な数の≪職業≫出会った。


「こ、これは」


一瞬もしやこれは全ての職業が書かれているのではと思ったがそこにかかれてない職業もあるので違うみたいだ。


≪剣士≫や≪魔法使い≫等の職業はあるが、

≪剣聖≫や≪賢者≫等の上位の職業とされているものは見当たらなかった。


「一体なんなんだ、」


フリードは意を決して、そのスクリーンに書かれた≪料理人≫という文字に触れてみた


すると、触れた≪料理人≫以外の文字が消えていき、同時に声が聞こえた。


『≪料理人≫をセットしますか?』


「え?ど、どういう」

フリードが困惑していると再び声が聞こえた。


『≪料理人≫をセットしますか?』


「は、はい」

とりあえずよくわからないが試してみることにした。


『≪料理人≫をセットしました』


そう聞こえた後、声は聞こえなくなった。


「ど、どうなったんだ?」


「とりあえずステータス」


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個体名:フリード

種族:人間

職業:≪自由人≫(料理人)

固有スキル:《器用貧乏》

スキル:《可能性の選択》

|≪料理人≫


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「なんだこれ?」


「もしや、この≪自由人≫という職業は自分で職業をあとから決められるものなのかも知れないな」

ただの憶測でしかないが、自由に生き方を選べるというのも筋が通っていてなんとなく当たっている気がした。


「これは凄い…でも、そんなことをあるのか…?」

フリードがそう思うのも無理はない。

職業というものは自分で選ぶことはできず、進化や変化するということはなく、ずっとその職業のままなのがこの世界の常識である。


だからこそ、この世界では与えられた職業がその者の人生を決定づけるのである。


自分で職業を選べる≪自由人≫はこの世界ではとても特異な存在なのだ。


「まぁ、どんな職業であろうと《器用貧乏》を持つ俺には意味がないんだけどな」


そう言いながらフリードは夕飯を食べに階段を降りていった。






フリードは気がついていなかった


―――≪自由人≫と《器用貧乏》が持つ可能性に…

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