第2話『無能の理由』
職業授与を終えたフリードは家に帰ってきていた。道中なにがあったのか全く覚えていないほどフリードは絶望していた。
家に帰ると忙しそうに働く両親に出迎えられた。
「「おかえりなさい」」
「ただいま…」
「フリードそれでどうだった職業は?」
「っっ!…あ、後で話すよ、ちょっと疲れてるから部屋で少し寝るね」
「そうか、じゃあ夕食が出来たら呼びに行くから、夕食を食べながらまた後で話してもらうとしよう」
「わかったよ、じゃあまた後で…」
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(聞いてほしくないことを、いきなり聞かれて咄嗟に誤魔化してしまった。どうしよう…)
フリードは倒れ込むようにしてベットに寝転んだ。そして、これからどうするか考えているうちにいつの間にか寝てしまっていた。
―――1つの夢を見た
―――昔の夢を
―――無能と呼ばれるようになった頃の夢を
フリードは、辺境の町で酒場を営む両親の元で産まれた。その両親の間に子供はフリードしかいなかったためとても愛されては育った。
フリードはいたって普通の子供だった、少し珍しい黒色をした髪と目をしていたが、それは東の方の産まれだという父親からの遺伝でいったって普通のものだ。しかし、フリードはとても器用だったのである、否、器用という言葉で片付けられないぐらい習熟だった、しばらくすると同年代の他の子供と比べ物にならないほどの早さで色々なことを修めていった。
こうなることは必然だったかのようにフリードは神童と呼ばれもてはやされた、そこまでは良かった、それからしばらくするとフリードを越えるものが続々と現れたのだ、フリードを越える天才が現れた訳ではない。フリードの成長が止まったのである。正確には止まってはいないのかもしれないが極端に遅くなった。
それからというもの、フリードは今まで自分より下にいた者にどんどんと追い抜かされ落ちぶれていった、そして、ついた異名が無能である。
フリードは、神童から無能に転落したのである。
これはどういうことかと思った両親が神殿で調べてもらうと、フリードには1つのスキルが宿っていた。
それは、《器用貧乏》という名のスキルだった。
スキルとは≪職業≫を授かってからその職業を修めていってその職業にあったスキルが手にはいる。というのが普通である。しかし、例外も存在する。それは固有スキルというものである。固有スキルとはごくたまに生まれながらに所持している特殊なスキルのことである。
フリードは、生まれながらに《器用貧乏》という固有スキルを持っていたのである。
そして、その効果とは、
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《器用貧乏》
習熟がとても早くなる。
しかし、ある一定になると極端に成熟が遅くなる。
このスキルを持ったものは色々なことを修められるが、1つのことを極めることはできない。
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このスキルこそ、フリードが無能と呼ばれるようになった原因である。
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