第33話
すれ違う使用人の方々達に生暖かい目で見守れながら数分の距離にあるサロンがとても遠くに感じられてしまったが、ようやくソファに降ろしてもらえて、隣にはだいぶ目の覚めた咲百合も座らされた。
気分の落ち着くハーブティーを用意してもらい人払いが済むとジョバンニ様が口を開く。
「落ち着いたかいユーコ」
さっきは恥ずかしかったがキラキラスマイルにもだいぶ慣れたのか逆に不思議と落ち着くようになってきているわね。
「取り乱してすみませんでした。もう大丈夫です。」
隣の咲百合の膝の上には着いてきた角うさぎのふわたんが大人しく丸くなり気持ちよさそうに咲百合に撫でられている。
「誰でもあの状況になれば冷静では居られないさ、不幸中の幸いと言わざる負えないが馬車の方は成功したのは間違いないのでココからは私の方で進めていきますね。」
「はい、お願いします。」
実用化が出来そうなのであとの調整はおまかせしちゃいましょう。
「それでですね、サーユちゃんの従魔の事ですが、本来ならテイムが出来るようになるのは早くても10歳頃からとなっていて、1部の特例の中に入る場合にギルドに登録出来る仕組みになっているんだよ。それ以外は成人しないと登録出来ないからね。」
この世界の仕組みはまだまだ知らない事も沢山あり身近に従魔を連れている人も居なかったのでまったく知らない事なのでしっかり聞いておかなければ…
「サーユの場合はその特例になると言うことでしょうか?」
「それなのだが、こんなに幼い子がテイムしたという事は初めてなのだよ。」
「そんな…」
咲百合がテイムをあっさり出来てしまったのにはサンクートが追加の加護を与えた事も原因だったりするのだが、その事を聞いていなかった由布子はまったく知らないので戸惑うばかりだった。
「ひとまずその事は申し訳無いのだが国王陛下に相談させて欲しい。」
ジョバンニ様から提案されたのは国王陛下に報告し国に正式に保護してもらおうと言うことだった。
実は砂糖の制作の事も国王陛下には報告しておりジョバンニ様が保護をするという許可を貰っていたらしい。
そんなに私は重要人物にいつの間にかなっていたとは思わずビックリしたのだけれども私が気を使わないようにジョバンニ様達が立ち回ってくれていたと聞いて申し訳なく思いつつその優しさが嬉しく思う。
サンクート様から貰ったスキルや力によって周りに迷惑をかけてしまって申し訳なく思って謝ったのだけれども、
「気にする事は何も無いさ、むしろ私たちは感謝しているのだからな、そうだろう?タスマニア。」
それまで黙って見守ってくれていたタスマニアさんも笑顔で
「もちろんですよ、おかげで美味しい食事も知ることが出来、オセロも作り砂糖というとんでもないモノを扱えるそんな素晴らしい事を任せてもらい感謝しかありませんからね。」
そう言って貰えてほっとする。
「皆さん、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。」
この世界に来て素敵な人達に助けられ本当に私は幸せだと感じる事が出来ているとしみじみしていると、
『くぅぅ〜〜』
私の隣からそれまで大人しくしていた咲百合から可愛いお腹の音が聴こえてくる。
「ふふ、さーちゃんおやつにしましょうか。」
確かアイテムボックスにプリンが残っていたはず。
この際なのでこの人たちには隠していても逆に何かあった時に迷惑をかけてしまう事になるかもしれないので全て話しておくべきなのかもしれないわね。
「皆さんに今からお話することは理解し難いかも知れませんが聞いて貰えますか?」
「もちろん、ユーコが嘘をつくとは思えないからぜひ教えてもらいたいな。」
「そうですね、教えていただきたいです。」
ジョバンニ様もタスマニアさんも本当にいい人だわ、
「まず今から見るものは少し珍しいスキルであるアイテムボックスです。」
そう言って咲百合にプリンを出して食べて待っててねとお願いしてから私はこの世界に来た経緯を2人に話す事にしたのだった。
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やっと新話の更新になります。
大変お待たせしましたm(*_ _)m
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