第27話


「ふぅ」

沢山出来上がった料理や保存食は既にアイテムボックスにしまってある。

パンケーキやプリンなども作っておりやり切った頃には外が明るくなっていた。

アイテムボックスという便利機能もだいぶ使い慣れて忙しい時に咲百合に食べさせることができるのはやっぱり便利ではあるのよね、心情的には目の前で出来たてを食べさせたいけれども働きながらはやっぱり難しい事し、オヤツで冷やしておきたいものはアイテムボックスを冷蔵庫代わりにして居るので重宝しているし、結局は使い方と気の持ちようなのよね。




「それでは行きましょう。」

迎えに来てくれたタスマニアさんが用意しくれた馬車にこの世界に来てから増えた荷物を積んでもらうがほとんどが洋服であとの大切なものは実はアイテムボックスにしまっているのでそこまで荷物は多くない。


みんなにお別れをして名残惜しい中馬車に揺られていたのだけれども、この馬車が何とも言えない揺れでまだ数時間ほどなのにもう座っているのが苦痛で仕方がない。

咲百合はお別れが悲しくて街を出る頃には膝の上で寝ていたのであまり気にしていないようだけれども、あまりにも辛くてタスマニアさんに聞いてしまったの。


「タスマニアさん変な事を聞きますが、この馬車ってバネのようなモノは着いてないのでしょうか?」

乗り物にはスプリングってクッションの役割をする物が当たり前の世界から来た私にとってこの馬車はあまりにも辛く感じてしまうのは仕方がない事では有るけれども。



「バネ?ユーコさんそれはどういうモノなのですか!?」

やっぱりバネやスプリングは存在していないのね。

「バネというのは…」

その後商人モードのタスマニアさんから根掘り葉掘り聞かれたけれども私も何となくこんな感じ?ってくらいしか知らないので咲百合用に出しておいたお絵描き用の黒板にそれっぽい絵を書いて見せたりしたのだけれどもとにかくタスマニアさんの熱気が凄すぎて余計に旅疲れしそうだわ。


これ以上は知らないと言うとやっと解放して貰えたけれども昼食休憩で今朝作ってきたサンドイッチを食べたら流石に徹夜の疲れが出たのかその後はグッスリ寝てしまったのだけれども、タスマニアさんの前で熟睡したのは不覚だわ。

こっそりヨダレを垂らしてなかったか確認してしまったのはナイショ。



無事にジョバンニ様の街に到着した時には日が暮れてだいぶした頃だった。

咲百合が居たのであまりスピードを出さなかったらいつもより時間がかかってしまって夜になってしまったそうだけれども街に着くまで残りは見晴らしの良い草原で危険も少ない事で野営をせず街に向かってくれたそうなの。

後は街中を抜けて豪邸の中に合っても更に豪邸の前で馬車が止まった時には私がここにしばらく暮らすなんてと軽くめまいがしそうだったなんてジョバンニ様には言えないわね。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る