第17話

ウィスター君が手伝ってくれるようになってはや数日たったけれども真面目に仕事をこなしてくれるし、人懐っこいのでロン君と良いコンビとして給仕も楽しそうにしているので本当に良かったと思うし、わたしの負担も減ったことで咲百合との時間が取れるようにもなれた。

最近ではフライドポテトならロン君は1人で完璧に仕上げることもできるし、ウィスター君も鍋のアク取りや他の仕込みもだいぶ出来るようになって来ている。

元々そんなに難しい料理にはまだ手を出せていないのもあると思うけれども、唯一2人が苦戦しているのがだし巻き玉子なのよね。

コレには私も慣れるまでやっぱり上手く出来なかったので練習あるのみなんだけれども…

以前テレビで和食の見習い職人さんがだし巻き玉子の練習をタオル?手ぬぐいでやっているのをテレビで見た事があるのを思い出してやり方は朧気だったけれども布とフライ返しを使ってひっくり返す練習を2人に試してもらったところ日に日に上達している気がするんだけど、ちゃんと寝ているのかちょっと心配するくらい頑張っているわ。


最近では買い出しに出ないでロン君たちに任せきりで咲百合を連れて近くの草原でずっと魔法の練習をしていたのでたまには市場を散歩しに来てみるとマーサに声をかけられる。

「あらユーコ!久しぶりじゃないか、最近では買い出しに来ないから心配してたんだよ。忙しくして身体を壊すんじゃないかと思ってさ。」

いつもマーサは優しい、私から見てお母さんってよりお姉さん位の年頃だろうけれどこんな母がいてくれたら日本での今頃家族幸せに暮らしていたのかしらとふと考えてしまったが、今の暮らしもなんだかんだ既に気に入っているので考えるをやめないと。

「ありがとうマーサ、逆にロン君とウィスター君が来てくれたおかげで時間が出来て咲百合とゆっくり過ごせてるから大丈夫よ。」

コレは本心から言っていることで本当に2人が来てくれて良かったとおもっているし、とても助かっているの。

「それなら良かったよ!1度噂のご飯を食べに行ってみたいんだがね私らの仕事は朝が早いから夜はなかなかねー。」

「そうだったの、それなら今度なにかお昼ご飯でも差し入れするわね。」

マーサにはいつもお世話になっているしお昼ご飯を招待してもいいんだけどお店を長い時間抜けさせる訳にも行かないのでお弁当でも差し入れすることにしましょう。

「いいのかい?そりゃ嬉しいわ!でもお金は払うから旦那や子供たちの分もいいかい?」

元々家族みんなの分作るつもりでいたし、そこは問題無いのだけれども、

「お金は要らないわ、マーサには本当に良くしてもらってるからそのお礼をさせて欲しいのよ。」

彼女のおかげで本当に色々助かっている事も多いので感謝してもしきれないくらいだわ。

「うーん、じゃ今回だけご馳走になるけど次回があればその時はお金は払うからね!」

さすがです(笑)しっかり者はちゃんと親しき仲にも礼儀ありを弁えているわ。

「わかったわ、じゃあ明日のお昼に差し入れするから楽しみにしていてね。」

早速明日にでもランチボックスを届けることにしましょう。こういうのは思い立ったらって言うしね。


さてと、お次はレガシィさんに頼んでいた道具が出来たか聞きに行こうかしら。


「こんにちは。レガシィさんいらっしゃいますか?」

今日は工房から聞こえてくるはずの音がしないのでちょっと不安になってしまったけれどもしばらくして、

「おぅユーコか、例のモノ出来てるぞ!」

以前頼んでいたピーラーがどうやらできあがったようで手渡してくれたわ。


「凄い、軽いし持ちやすいわ!」

手に持って使うという事を今回は考えてくれたようで持ち手は木で出来ており刃の部分もよく切れそうだわ。


確かアイテムボックスにじゃがいもがあったはずなのでこっそりひとつ取り出して試しに向いてみるとするっと剥けてしまい怪我しないように気をつけなければ行けないくらいよく切れる刃に仕上がっているようだわ。

「うん、すごくいい感じ、レガシィさんありがとうございます。」

コレでまた仕込みが楽になりそうだわ。

「そうかい!それなら良かったよ。」

「はい、そしたらこれと同じものをあと2.3本と子供の手で持てるサイズを1つ注文してもいいでしょうか?」

せっかくなので咲百合のお手伝い様も頼んでおくことにしましょう。

「おっしゃ、任せておけ!それとな、この前の軽量化の付与付けた道具の方も改良型作ったから見てくれないか?」


後々軽量化したものを作って貰えるように頼むつもりだったけれども、レガシィさんは早速作ってくれていたのね。

「ええ、ぜひ!」

「ほれコレだよ。」

持ち手は木製で混ぜるところは金属製の泡立て器が出てきたが、以前のものより針金部分も細くなっており随分と軽くなっていたわ。

「すごくいいです、コレも何個か追加で注文させてください。」

いくら軽量化してあるとはいえ持ち手が少し持ちにくかったのでコチラの泡立て器の方が使いやすそうだわ。

「任された!他にもまた作って欲しいものが有ればどんどん言ってくれよな!ユーコの頼むものは変わったもので作っていて楽しいから大歓迎だ。」

どうしようかしら、作ってもらいたいものは確かに沢山あるんだけれども今注文したものが出来上がってからの方がいいと思っていたのでちょっとなやんでしまうわ。


「あるにはあるんだけれども今頼んだものがかんせ…あ、そうだ長方形のフライパンが欲しいの、これくらいのサイズで」だし巻き玉子は今は一般的な丸いフライパンで作っていたけれどもやっぱり四角いフライパンで作りたかったのでそんなに難しくないモノとしてお願いしてみましょう。

大きさを手でコレくらいと表現してお願いしてみると、

「そりゃまた珍しい。よし、次に来るまでに全部作っといてやるさ!」

そう言って受け渡しは5日後に約束をして店を出るのだった。


ちなみに咲百合は今はレガシィさんのところに来る前に宿に寄ってお昼寝をしているの。

そろそろ起きる時間になってしまうから急いで戻らないと心配かけてしまうわ。



由布子はカバンに受け取ったものをしまい急いで宿にもどるのだった。

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