色彩の無い世界

　中学二年生の最上ユウは15歳の誕生日を迎えて数日後の朝、突然視界から色彩が消えてしまう。彼の目に見える世界は、漫画のように白と黒だけで表されてしまうようになったのである。
　自分の異変に不安になりながらも、幼いころから行為を抱いていた安城マイに告白、念願の交際をスタートさせる。
　色彩の無い世界でも、ユウはそんな症状を口に出さず、大衆に紛れることで円滑に日々を送っていた。しかし、付き合い始めた安城マイも同じ「色彩の無い世界」に蝕まれてしまい、彼女は自らの症状を口にしてしまう――色がない、と。その言葉は、思いもよらない結末を招く。
　平穏だった日々が突然かき乱され戸惑う少年の葛藤を描いた物語。

※この小説で出てくる色彩に関する症状は、現実に存在する諸症状とは一切関係ありません。ご理解よろしくお願いします。