煙草

「今月から値上がりかぁ」


その独り言には良い感情は含まれていなかった。


どうやら彼のお財布はダイエットに成功しすぎた。小銭すら無い。今使い切ったから。


残りは十円玉と一円玉が数枚のみ。なにせ彼は社会人デビューに失敗して職にありつけてない。


節約、しないとな。そう男は思いつつその梱包を強引に剥ぎ、手元に灯るライターから火を移す。


「ふぅぅ」


白煙が霧散していく。こうして彼は自分の財布の中身分くらい環境破壊を増進させたのだった。

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