第28話 最強キマイラが倒せない

 炎狐は最強キマイラの前に立ちはだかる。キマイラはずっと悪意に満ちた笑顔のまま、プロボクサーのグローブ大の拳を固めている。



「そこをどけい! 俺様はマンティコアに用があるんだ」


満地まんち先生をこれ以上傷つけるワケにはいかない」



 炎狐は口から炎を吐いて、キマイラに放つ。キマイラは巨体に似合わぬ俊敏な動きでよけて、空に飛び上がった。とても重そうなシャチ下半身なのに、飛べるなんてズルい!



相須あいす先生、凍らせてくれー」


「わかった!」



 リザードマンが作る水のボールを、アイス・ビーストの息で凍らせて、氷のボールとして投げた。彼の抜群のコントロールで、ボールがキマイラの頭や胸へいったが、すぐに鷲掴わしづかみして、かき氷のようにぐしゃぐしゃにつぶしてしまった。



「その程度の攻撃しかできんのか。つまらん!」



 キマイラはシャチの尾びれをふるって、空中からリザードマンとアイス・ビーストの頬にぶつけた。彼らは悲鳴を上げることなく、気絶してしまった。



「何というパワーだ……。幻術!」



 炎狐がサングラスを外そうとしたら、一瞬のスキが生まれてしまう。地上に降りたキマイラは一目散に駆けて、彼の肩を噛んだ。



「う、うぐわああ……」



 血が辺りに飛び散り、炎狐はその場でしゃがむ。彼は前のめりに倒れて、ただのしかばねのようになってしまった。



 一気に3体のモンスターを倒すなんて、本当に“最強”にふさわしい……。



「たくさん遊ぼうぜー、マンティコアー」



 最強キマイラは鼻についた血をなめて、薄気味悪い笑みを浮かべている。



 かぁー、気色ワリー、ヤダこいつー!!



(続く)

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