第26話 最強キマイラに!?

「オマエモモンスターニナラナイカ?」



 悪魔のテディベアが、カウンセラー室に入った紀米良きめら伊和いわ勧誘かんゆうする。



「ダメよ、紀米良きめらさん。こいつの言うことに耳を貸しちゃ」



 芭尻ばじり先生は足を組みながら、汚物を見るような顔で、悪魔のクマを指差す。しかし、紀米良きめらは覚悟の準備が出来ていた。



「なります!」


「ちょ、紀米良きめらさん?」


「よーし! ババババッバーバババーバー!」



 悪魔のクマが手を振れば、紀米良きめらの全身に電撃が走った。



 彼女の制服が、天空の城ラピュタのマッスルおっさんのようにちぎれ飛ぶ。現れた筋肉に焦げ茶色の獣毛が生えていく。首回りから胸・腹と、指先から手の肘までは焦げ茶色だが、それ以外は茶色い獣毛だ。



 顔のそばかすは焦げ茶色の斑点になり、腕や上半身にも大きな焦げ茶色の斑点が出てくる。彼女の鼻と口は少し突き出し、犬に似た黒ずんだ鼻が小刻みに動く。人を一瞬で殺せそうな鋭い牙は、太いあごにかかるほど長く伸びる。



 両足はくっついて1つになり、肌がゴムのような感触になって黒く染まる。ほとんど黒だが、白いだ円形の模様もある。足の先が二又の尾びれみたいになる。人魚姫のような下半身だ。



 背中からは羽が生え、白い羽毛に茶色の線がいくつも入った模様になる。これは、まるで鷹のようではありませんか。



「フハハハハハハハ」



 上半身がブチハイエナ、下半身がシャチ、オオタカの羽を持つ筋肉隆々のキマイラとなった紀米良きめらは、悪役の笑いを上げる。



「サァ、マンティコアヲタオスンダ!」


紀米良きめらさん、こんな奴の言うこと、おごっ!」



 悪魔のクマの右手が芭尻ばじり先生の口をふさぐ。キマイラは窓を突き破って、屋上へ飛び立った。



(続く)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る