第23話 大昔のマンティコア

 昔々、地獄集会にて、悪魔たちは大魔王様にこう命令されました。



「諸君、命令をする! 愚かな人間達を堕落だらくさせ、地獄へ連れて来い! 1匹につき1人がノルマだ!」



 こうして、悪魔たちは地上に上がり、人間や動物に化けて人間を誘惑したのです。かのイエス=キリストを誘惑したのも、この堕落ノルマがあったからですよ。



 さて、マンティコアもこのノルマを達成するために、美男子に化けて女性を誘惑しました。しかし、その女性の知性と優しさに触れて、彼は悪魔としての本分を忘れていきました。



 ある日、マンティコアの前に、悪魔たちがやって来ます。悪魔たちは怖い顔を作り、マンティコアに迫ります。



「マンティコア! 何故、人間を堕落だらくさせないのだ!」


「人間は我々が失ったものを持っている! 俺は人間の美しい心を汚したくない。悪いが、大魔王様の命令には従えない!!」



 マンティコアは清水のように澄み切った目で言い切ります。



「この出来損ないがぁー! 死ねぇ!!」



 マンティコアは悪魔たちに殺されました。しかし、マンティコアが愛した女性は難を逃れ、1人の子どもを産みます。



 その子どもの子孫が、満地まんち亜子あこ先生なのです。



※※※



「マンティコアを倒さなければ、奴だけが持つ、人間を良いモンスターに変える針によって、人間界と悪魔界は大混乱になる。だからこそ、芭尻ばじり先生! お前もモンスターにならないか?」



 カウンセラー室にて、悪魔のテディベアが流暢に喋って、芭尻ばじり先生を誘惑する。パーマショートの茶髪の美魔女は紅茶を飲みながら、「何度も言ってるけど、あたしモンスターになりたくないわ」と断った。



「クソガー! アイス・ビーストとリザードマンに代わるモンスター素材ホシー!!」



 悪魔のクマはテーブルを叩きながら、次なるモンスター素材の訪問者を待つ。



(続く)

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