第16話 マンティコアVSアイス・ビースト&リザードマン 

 オレがドアを開けて屋上を踏めば、床がツルツルしてて転んでしまった。何と、床一面がスケート場のように凍っている。誰がこんなことを?



「リザードマンの本気を喰らえー!」



 オレの顔面にシャボン玉状のボールが当たって弾ける。顔が裂けるように痛い。何じゃ、こりゃあ!



「私の車を汚してくれたマンティコア君、ここがあなたの墓場ですよ」



 角が生えたホッキョクグマが、鼻をヒクヒク動かしながら喋った。オレ以外にも、この学校にモンスターがいたのか。私の車と言ったので、相須あいす先生か?



「スマホゲーみてぇに倒せるなんて、サイコーだぜー」



 青いトカゲ人間が野球のピッチャーのように大きく振りかぶって、オレに向かってシャボン玉を投げてきた。もしかして、里佐土りさどか?



「やめろよ、お前ら。元はと言えば、授業中にスマホいじってたり、嫌がる女性を無理やり車に入れたりしたのが悪いんだからよぉ!」


「黙らっしゃい! 私の“好き”は何人にも邪魔させない!」



 相須あいすクマがオレ目がけて、氷を吐いてきた。マズい、氷けにされる。とっさに飛んで、攻撃をよけた。



「空を飛んでもムダムダムダ!!」



 里佐土りさどトカゲが水のボールを投げてきた。最初は面食らったが、オレの動体視力をもってすれば、よけられる。どうせ真っすぐだけしか投げられ、ゲッ、曲がった、ぐえええ。



「残念だな。俺の水弾(ウォーター・バレット)はカーブやシュート回転かけられるんだぜー」



 次々と体や翼に水のボールを喰らい、上手く飛べなくなる。このままでは、オレはやられ放題だ。一旦降りて、この腕力で奴らを倒すか。



 オレは相須あいすクマの前へ降りて、パンチを繰り出す。



「おりゃあああああ!」



 奴の腹にマンチパンチ! オレのパンチは人が吹っ飛ぶパワーなのに、相須クマは笑っている。効果はいまひとつのようだ……。



「アイス・ビーストになったことで、この分厚い脂肪しぼうが役に立つとはねー」



 奴がオレの顔に氷の息を吹きかけてきた。



(続く)

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