第17話 マンティコアの氷漬け

 アイス・ビーストの息は、冷凍庫の冷気級に冷たい。オレの顔はたちまち凍り、目が開いたまま動かせなくなった。



相須あいす先生、凍らすのは上半身だけにしてくれよー」


「わかりましたよ」



 オレの上半身にも氷の息がかかり、金縛りに遭ったみたいに動かなくなる。クソ―、何なのよ、この技、チートすぎるよ!



「俺のスマホ失った怒りを喰らえ!」



 リザードマンが水のバットを作り出して、私の尻やももを引っぱたく。



 痛い、痛い、痛い! 紙で指を切ったような痛みがあちこちに走る。もうやめてほしいと言いたいけど、声が出せなくて辛い。誰か助けて――!



満地まんち先生、どうし、何じゃこりゃあ!」



 昇降口の方から、火魔ひま先生の声が聞こえてくる。私が脱いだ服を見てしまったのかしらん。恥ずかしいっ!



「ひ、火魔ひま先生!?」


「なーにビビってんだよ、相須あいす先生。俺らモンスターなんだぜ。俺の水弾(ウォーター・バレット)を喰らえ!」



 火魔ひま先生がやられてしまう、どうにかして助けないと。なぜか、私はお尻に力を入れた。サソリの毒針が飛び出して、火魔ひま先生に向かって飛んでいった。



「う、うぐう……」



 火魔ひま先生は毒針の刺さったヒザを押さえて、その場にしゃがみこんだ。



(続く)

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