第6話 里佐土はスマホのマンティコアを倒せない

「ちょっと、トイレ行ってきまーす」



 里佐土りさど万太郎まんたろうは挙手してトイレへ向かう。彼は廊下やトイレに誰もいないのを確認すると、一番奥の個室に入る。



「ふぅー。回すか」



 彼はパンツの中から、生温なまあたたかいスマホを取り出す。教師にバレないよう、1日に1回以上はトイレに行って、スマホゲームにいそしんでいるのだ。



「チッ。カスばっかかよ」



 彼は声をひそめて、今日のガチャのメンツに舌打ちする。既存のメンバーを強化して、定期イベント戦に向かう。



 定期イベントの相手はマンティコアだ。かなり防御力が高いため、フレンドのパーティーと協力して倒さなければならない。



「うわっ、空飛んできた。えっ、毒針? キモっ、チートすぎんだろ」



 彼はマンティコアの規格外の強さに文句を言う。現実でも、マンティコア教師がドアの前に立っていると知らずに……。



(続く)

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