第一七話「避けられる人」
「どうしたんだよ。そんな顔して、ぼーっと。あれか、恋でもしたのかー」
にやけた顔で石墨がこちらを見てくる。
「朝、熱治してくれた人が居るんだけど、記憶が曖昧で、夢だったのかな」
「――ちょっと待て。そいつ、どんな感じだった……」
よく覚えてない……と、思ったが不意に一つの特徴を思い出す。
「あ、髪が短いんだけど、前髪に何個もヘアピンしてた」
それを聞いた石墨が珍しく慌てて、顔を近付ける。
「悪いことは言わん。そいつには関わるな。俺には苦い思いでしかない、あいつ俺を見つけるや否や走って近付いてくるんだよ。しかも逃げても逃げても追ってくるし、終いには…………」
そこで身震いをして、より一層、顔が青ざめる。
「大丈夫か石墨。顔色が悪いぞ」
「……とにかくっ、あいつには関わるな。俺が遭遇する確率が上がる」
なんだと言うのか。あんなに優しい人に向かって、そうも怖がる理由は。
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