第十六話「魔法熱」

 朝だろうか、カーテンからの光が眩しい。身体が重い。なんだろう。記憶が曖昧で……、よくわからない。


「起きなさい……ほらっ。…………ん、ってか、なんか熱あんじゃない、今日は学校休みな」


 扉の閉まる音が聞こえる。さっきからずっと変な音が聞こえる。波の押し寄せるような、よくわからない音。寝たいのに、頭が痛いし、いろんな音がうるさい。


「貴方ですか、魔法熱出してるお馬鹿さんは」


 汗とピントのずれで視界がぼやける中、女子のような声がかろうじて聞こえる。


「少し待って下さい。すぐに楽になります」


 瞬間、身体の熱が自分でも分かるぐらい引いていく。


「これで学校にも行けます。早くしないと遅刻しますよ。」


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