第九話「深介心斗」

「ひゅー、こりゃ、駄目だなー。伸びちゃってるよ」


 近づく少年は制服を身につけているが、ゆったりとした足取りで近づいて来る。


「あれー?起きてるぅ?以外とタフだねー」


 高い声に低身長。無邪気な言動。今までの経験上、一番関わったらいけないタイプの人間だ。


「よいしょっ! 」


 いつ逃げ出そうか。そんな思惑とは裏腹に以外と力のある少年に担がれてしまった。


「自己紹介してあげるねー。僕は深介 心斗しんかいしんと。君は島崎章くんだよねぇー」


「………………」


「ちょっと黙らないでよー」


 不意に口が開く。


「なぜ担ぐ。それと参加していないのか」


「え、参加してるよ。それよりも魔法は使わなかったけどいいの? 」


「僕は魔法は使わない」


「ええー、どうしてぇー?! 

……ちぇ、せっかく新しい強い人が入ってきたと思ってたのにー」


 どうして好戦的な奴が一人はいるのだろうか勘弁してほしい。

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