『2019年のクリスマス・キャロル』かしこまりこさん

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尾崎ゆうじフル読み書評 評価シート


【注】 こちらは、現在尾崎ゆうじのnoteで限定で受け付けているフル読み書評の『評価シートおよび添削動画』の内容になります。


 本来は非公開ですが、特別に許可をいただいて公開するにいたりました。かしこまりこさん、ありがとうございます!


 なお、フル読み書評券(現在完売中)とは別に、かしこさんとは個別に相談のうえ、文章添削はほぼせずに感想のみ、ということで承っています。なので普段のフル読みよりも文章に対する言及は少なめ(無い?)です。ご理解いただきたく存じます。


 このフル読み書評が皆様の参考になれば幸いです。


作品リンクはこちら。(いずれ非公開になる場合もございます。お早めに)

https://kakuyomu.jp/works/1177354054919220396



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☆このたびはフル読み書評をご依頼くださり、誠にありがとうございました!

 誠心誠意評価をさせていただきました。


1 作品タイトル『2019年のクリスマス・キャロル』

作者名:かしこまりこさん


2 受注日:

 

 2020年 9月 27日


3 尾崎が作品を最初に読んだ日: 


 2020年 9月 27日 



4 各項目の評価・採点(各最高15ポイント(⑦のみ10ポイント)):


・短編ひとつめですね。動画の中にて、けっこう改善できることだとか、要望だとかをお話していますので、評価シートはその概要とまとめという感じになります。



①[タイトルやあらすじなど……12pt/15pt]


 キャッチコピーとあらすじはなかなか良いですね。タイトルは無難な感じでしょうか。誰に届けようと思っているかによって、もう少し変わってくるかもしれません。かしこさんの場合、本文中のワンフレーズをキャッチコピーに持ってくることが多いですが、場合によっては少し崩したりしていく方が良いと思います。


 何をもって良い、とするかといえば、ただアップしているだけで読者がPVをつけてくれるかどうか、ですね。それだけで、刺さるテーマかどうかがわかるので、それこそ公募で結果を出す際のサインになります。出版社も『現代の読者が求めているテーマの作品』を求めているはずで、イコール現代におけるその作品の時価みたいなものになると思うので、時々キャッチコピーを変えたりして、どんな言葉を読者が求めているのか探って遊ぶのも面白いかもしれません。



②[掴み……14pt/15pt]


 本当のどん底からの導入で、共感を誘うのは良いですね。しかも大きなどん底が3種類あるので、人によってはどれかに刺さるというか、そんなふうに感じました。とても良い狙いだと思います。


③[文章……14pt/15pt]


 文章については、それほど言うことはありません。


 でも、誰に届けたいか、と誰に刺さるのか、を考えた時に、あまり本作は1人称じゃない方がいいのかなと感じました。ちょっとクズさ加減というか、あまり主人公の『俺』に良い部分がないので、刺さりすぎるというか、もう少し客観性を出してあげた方が読みやすいと感じます。


 通常、自分の好みで小説を読もうと思ったときに、あまりにもこれが『I』だったら嫌だな、という主人公だったら、やはり読んでいてきついかなと思いました。


 出だしでは共感できるけど、途中から「いや、俺そこまでクズじゃないし」みたいな反応になりそうです。

 その場合、できれば3人称の方が良いかなと思いました。



④[ストーリー……7pt/15pt]


 内容というか、テーマに良さは感じますが、ちょっと上手くそれを表現できていないと思います。


 主にオチの弱さと、それに伴うまとまりの悪さが問題だと考えられます。


 これについては動画で熱弁してますので、ぜひ聞いてください。というかほとんどこれについて語っています。



⑤[キャラクター……9pt/15pt]


 共感できるけどできない、という感じです。前述のとおりですね。


 主人公はそういう人間なので、そもそもリスクを負っているキャラクターではありますが、それはそれで良いと思います。あとは描き方の問題でしょう。


 プラス、妹のキャラクターは結構良いですね。5話に登場するだけですが、面倒見の良さそうな感じが伝わってきます。会話もリアルな感じで良いです。


 とはいえ、もっと作品中盤で出番がほしいところ。



⑥[期待度・引き付け……13pt/15pt]


 俺、どうなるんだろう、どうするんだろうという期待感はありました。


 あとは共感の問題と、その期待感に対するオチの弱さというか、そのあたりが課題でしょう。今は短いので読み切れますが、きちんと内容を伴わせて中身を作りこむと、今度は共感が課題になってくる──という順番で顕現すると思います。



⑦[加点・オリジナリティ、本作特有の魅力など……5pt/10pt]


 リアリティ的なところというか、実際にこういう人間がいそう、という点が良いですね。相変わらず人間を作り上げるのは上手だなあと思いました。



[おさらい]

・タイトルやあらすじなど……12

・掴み……14

・文章……14

・ストーリー……7

・キャラクター……9

・期待度・引き付け……13

・加点、本作特有の魅力など……5


●総合得点は──


(74)pt!


(総評)


 ちょっと採点が甘めに入っているかもしれません笑


 でも採点より大事なことがありますからね。総じて言えることは、誰に刺すつもりなのか、ということと、終わり方が良くないということですね。

   

☆文章添削も含め上記の内容を詳しく解説した動画は、以下のリンクから閲覧できます。

 (非公開動画です。このリンクを知っている者のみ閲覧できます)


 ↓動画のリンク(約 時間24分)。  


 https://youtu.be/rd8wgKH4MZo

 

 長時間の動画になります。要点は上記、あるいは動画の画面上にまとめています。

 要所要所でスクリーンショットなど撮影することをおすすめします。



──────

 

 これで今回のフル読み書評は以上となります。


(読者のみなさまへ)


 ちょっと良い話。


 かしこまりこさんは本作を後日リライトする予定のようですが、現時点で主人公がちょっとクズだなあという私の感想に対して、ご本人はそういうつもりで描いたわけではない、と仰ってました。


 え……どう見てもクズですやん。


 という感じなのですが、これはかしこさんが伝えたかったことを上手く打ち出せていなかっただけで、本当は焦点を当てる場所が違ったみたい。


 主人公は結局いろいろ失敗してみじめな感じで2019年のクリスマスを迎えようとしているのですが、その裏で、


 5年も同じ女性と付き合ったり、8年もバンドを続けたり、10年も仕事を続けたり、していたわけです。


 よく考えたらすごくね? という考え方だったみたいで、作品を読んでいる最中の私は、まったくそこに考えが至っていなくて、「あ、確かに…」と頷きました。


 素敵な話だったのでみなさまとシェアしたいと思いました。同時に、その焦点がきっちり描かれるように書き直して、主人公をわずかでも救ってあげてほしいとかしこさんに伝えました。


 そうやって読み返してみると……いや、余計に苦しいかも。どうか救いの手を。

 

 以上です。



創作コーチ

尾崎ゆうじ

(note) https://note.com/ozaki_yuji

(youtube) https://www.youtube.com/channel/UCu54sC6pviWQUC1eA6dqDKg/featured?view_as=subscriber 

 

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