第8話 中世〜近世モチーフ異世界において、キャラの寿命どうしてます?

 かの織田信長は言ったそうな、人生50年、あと一年生きたかったぜ、的なことを。

 この逸話が史実か伝説かは、私は存じ上げないのですが、要するに戦国時代あたりの人の寿命ってそのくらいだった、という話。


 今よりも栄養状態は悪いし、衛生観念も医療も未発達。

 中世ヨーロッパでは200年くらいの間入浴という習慣がほぼほぼ消滅してたとか、「医者が分娩立ち合い前に手を洗う」という概念は1800年代なかばにやっと出てくるとか、そりゃ死人も出ますわ……的な感じだったようです。

 そんななので、現代日本のように、特別な病気や事故でもなければ80、90当たり前というわけにはいきません。

 まあもっとも、世界に目を向ければ、現代においても上記のような状態の国や地域は今も地球上のあちこちにあり、そういったところと比べると、日本は平均寿命がとりわけ長い、恵まれた地域ということになります。


 地域によって当然差はあるのですが、今私の書いている作品のモデルになっている19世紀初頭イギリスがどうかといえば、産業革命が起こりつつあるというのに、なかなか厳しい状況だったようです。

 この時代のリアルタイム作家、ジェーン・オースティンの著作、「分別と多感」では、主要人物が雨に濡れて風邪をこじらせた結果、死の淵をさまようわけです。

「分別と多感」映画版では、このときやってきた医者は瀉血くらいしか治療行為らしきことを行わないのですが(原作では薬剤師が薬を与えたとあるが何を処方していったのか具体的には記述されていない)、実際には患者が若くて普段は健康である点からして、安静と本人の体力で回復したとみるのがよさそうな雰囲気なのです。


 サラッと上辺だけ調べても、その辺りの時代の人で長命なのはそもそも生まれつき頑丈な人=体力のない者、遺伝的に体が丈夫じゃない者は乳児や子供の頃に死亡する、あるいは成人しても早逝する、というのが実情だったと推測できるわけです。

 だからこそ、昔の人は子孫を残すためにも早婚多産だったんですね。


 そこで本題。

 そんな中世〜近世をモチーフにした異世界ものを書くとき。

 皆さんはキャラクターの寿命ってどのくらいに考えていますか?

 村の長老、という人がいるとして、その人は60歳か、80歳か、100歳か。

 この世界には病を治す魔法や魔法の薬があるので、金さえあれば現代並みの治療を受けられる!とするも良いでしょう。

 あるいは地球と違って大国の衰亡や伝染病の流行などがなかったために順調に衛生観念などが発達した世界線である、なんてのもありだと思います。

 または、地球とよく似た経緯を辿ったため、医療はかなり近代化した時代でもお粗末だった、とするのもまたおつなもの。現代知識無双できるやつです。普通に常識的な衛生管理を行うだけでナイチンゲール並みの功績が残せる可能性すらあるぜ!


 そんな設定を下敷きに、たとえばベテラン冒険者って何歳くらいをいうのか?何歳くらいで引退して、その後どのくらい生きるのか?

 キャラクターの親は、祖父母は、何歳くらいまで存命か?

 乳児死亡率からいくと王様の子供が一人二人な訳がない、可能な限りたくさん子供作るでしょ(しかし狭い地域で王族同士で婚姻を繰り返した結果、どの国も親戚状態、近親婚が煮詰まりすぎて逆に子供ができなくなったりして)?

 ……なんてことを考える必要があるわけです。


 前にもちょっと書いたけど、ここら辺を全部自分で設定するのと、地球準拠!として歴史の勉強するのと、どちらがお手軽なのだろう……。


 皆さんはキャラクターの寿命、どのくらいに設定していますか?

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