二人が生まれてくる世界は間違っていたのか……。

徒花、 咲いても実を結ばずに散る花と言われていますが、本作品はその名を宿すに相応しい物語となっております。世界観は中世の西洋を彷彿させるものです。その世界観こそが見所の一つではないかと感じています。物語を際立させる醍醐味と言えます。

血の繋がりのない姉弟、姉のシルティと義弟のセドリック。二人の出会いは運命的なものと言えます。それは神が与えた悪戯なのかもしれません。二人は順調に家族愛を深めていきますが、それは本当に純粋な姉弟愛とばかり思っていました。ですが、両者の思惑は歪な情愛へと変わっていくのです。それは棘の道を辿って禁忌の獄への行く末……。

冒頭で述べた、徒花。これを思い浮かべて読み進めれば、読み手に合わせた様々な結末を魅せることになります。それこそが本作品の真骨頂とも言えます。
読み手を選ぶ作風ですが、好奇心旺盛な方には是非ともおススメしたい作品です。美麗な描写と濃厚なシーンが禁断の愛とは火傷程度では済まないことを教えてくれます。

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