第4話幼馴染だったの?!

「神農だと、なんじゃ、的屋か、的屋ごときが山菱組に逆らって生きて行けると思ってんのか、愚か者が、縄張り奪って叩き潰すぞ」


「三下マフィアがなに夢見とんのじゃ、ほんまの日本の漢は、半島マフィアの言いなりになる、売国根性なしとは違うぞ」


 私の全く知らない話ですが、裏の世界にもいろいろあるようです。

 日本の反社の世界は、半島系の人間に支配されていたと思っていたのですが、それに抵抗する日本人もいるのですね。

 それとも私の為に、組の方針に逆らって、身体を張ってくれているのでしょうか?

 それならうれしいですが、同時にとても心配です。

 それに、幼馴染と言われても、高校の時に初めて同学年になっただけなのに。


 もしかして、他の誰かと勘違いしているのでしょうか?

 もしそうなら、勘違いで命懸けの喧嘩をしてくれています。

 それではあまりに申し訳ないし、少し間抜けでもあります。

 ちゃんと言って、今からでも話し合いにして、風魔君が殺されないようにしないと、私も死んでも死にきれません。


「ねえ、風間君、私、風間君とは高校で初めて会ったのよ。

 幼馴染というのは、何かの勘違いだと思うの」


「ひゃっひゃっひゃっひゃっ、バカ丸出しだな、幼馴染かどうかも分からんのかよ」


 グッシャア、グチ。


 あまりに素早い動きに、風間君の動きが全く分かりませんでした。

 私が確認できたのは、風間君の事をバカにした半島マフィアが、顔をグチャグチャニ潰されて血が噴き出していますが、あれで生きているとは思えません。

 全く躊躇する事無く、人を殺せるのですか?!

 常に生死にかかわる医師になろうとはしていますが、自らの手で命を絶つ覚悟はできません、だから、堕胎をしなければいけない産科は志望しなかったのです。


「ミーちゃんは覚えていないだろうけど、幼い頃によく遊んでいたのだよ。

 今まで黙っていたけど、小学校あがる前に、一緒に遊んでいたんだよ。

 ミーちゃんとはお医者さんごっこをした仲だよ、覚えてないかな?」


 私はバカです、ミーちゃんと呼ばれて初めて思いだしました。


「うわぁぁぁぁあぁ、りゅうちゃん、りゅうちゃんだったの?

 だったら早く言ってよ、全然気がつかなかったわ」


 そう言いながらも、恥ずかしさで赤面してしまいました。

 りゅうちゃんとは、まだ物心ついて間もない頃から、毎日一緒に遊んだ仲です。

 シングルマザーだった母と一緒に、ボロボロの文化住宅に住んでいました。

 でも、心の温かい人達が多い地域で、沢山の支援をしていただきました。

 特にりゅうちゃんの御両親には、一方ならぬお世話になりました。


 毎日、いえ、毎食おすそ分けと称しては、焼きそば、お好み焼き、たこ焼き、イカ焼き、焼きトウモロコシ、フランクフルト、焼鳥、おでんを差し入れてくれました。

 特に私がうれしかったのは、リンゴ飴、チョコバナナ、ベビーカステラ、クレープ、綿あめでした、滅多におやつが食べられなかった私には、忘れ難い思いでです。

 あの男から逃げるために、夜逃げするまでは幸せだったのを今思いだしました……

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