第3話やくざだったの?!

 半島マフィア、山菱組の連中が、私を確保しようと殺到する。

 取り押さえられてしまったら、自殺することもできなくなってしまう。

 そんな事になったら、臓器売買の為の手術をやらされてしまう。

 今の私はまだ医師免許を持っていないし、技術も経験も全く足りていない。

 そんな私が臓器摘出手術をしたら、多くの死者をだしてしまう。


 死に損ねてしまったら、頑として臓器摘出手術を拒んだら、私も売春させられる事になるのだろうか、それとも、臓器を取り出される側になるのだろうか?

 何としても確実に死ななければいけない、絶対にだ。

 私が、手に握った致死性の毒を入れたカプセルを握り潰そうとしたその時。


「動くな!」


 言葉通り、全く動けなくなってしまった。

 それは私だけではなく、半島マフィアも同じだった。

 悪逆非道な事を繰り返してきた連中でさえ動けなくなる、凄まじい気合いだった。

 いったい誰が、多くの人が関わり合いにならないように、見て見ぬ振りをしているこの場に、割って入ってきたくれたのでしょうか?


「この程度の事で死んだ駄目だよ、最後まで諦めずに戦わないとね。

 いいかい、よく覚えておくんだよ、世の中には裏の裏があるんだよ。

 裏の腐れ外道共を始末する、裏の裏がね」


「風魔君、何で風魔君がここにいるの?!」


 私は思わず叫んでしまっていましたが、直ぐに自分の愚かさに絶望してしまった。

 自分の愚行が、半島マフィアに風魔君の苗字を知らせてしまったのです。

 風魔なんて珍しい名前とこの体格です、直ぐに素性が特定されてしまいます。

 私を助けに来てくれた人を、逃れられない状況に追い込んでしまいました。

 え、いえ、でも、どうやって私が苦境に追い込まれている事を知ったのでしょう?


「不思議そうだね、同窓会での君が余りに思い悩んでいたからね。

 心配になったから、ストーカーだと思われる覚悟で、跡をつけてきたんだよ」


 こんな追い詰められた状況なのに、思わず吹き出してしまいそうになりました。

 その気になれば威圧感を感じさせられる巨大な体を一杯に使って、お茶目な仕草で死まで覚悟した私を笑わせてくれたのです。


「おい、こら、われ、ふざけたことをしでかしてくれたな。

 俺達が山菱組のもんだと知ってやったんか!」


「おおよ、知ってやったんじゃワレ!

 俺の幼馴染をようも嬲ってくれたの、生きてこの場から帰れると思うなよ!」


「なんやと、こら、俺らを山菱組の者と知って喧嘩売った言うんか?!

 ええ度胸じゃ、われ、素人やないな。

 だったらただでは帰さんぞ、麻酔を使わず、生きて臓器を取り出してやるぞ」


「ふん、お前らのような仁義を守らんマフィアと一緒にするな。

 俺はこの国で仁義を護って千年生きている、神農風魔一家の若頭じゃ」

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