決闘

 ラファールは身長230センチ程だろうか、魔人としては標準的だ、対するカースは175センチ、筋肉は相当ついている方だ。


 カースは魔剣を構える。剣はこれまでに吸った魔人の命で不気味に光り輝いている。


 対するラファールも剣を持っている。最終戦争の時に人間の将軍が持っていた剣らしく、名刀である。



 カースがじりじりと間合いを詰めていく。


 ラファールはじっと身構えて動こうとしない。


 カースは近づいていきながら、ラファールがあり得ない大きさに思えてきた。4メートルも5メートルもあるように思える。それは、ラファールの魔力であり、それまで幾多の修羅場をくぐってきた、経験であろう。


 たしかに、逃げ出すのが正解だったかもしれないよ、アデラ。そう心の中でつぶやく。



 俺は男だから。



 カースはラファールへ向かい飛んだ。魔力が働いたようなスピードだ。


 間合いに入ったところで、魔剣を振る。


 しかし、ラファールに簡単に弾き返される。


 

 周囲の観客からはどよめきのようなものが聞こえる。


 まさか、人間がこれほどの動きをするとは思っていなかったようだ。



 着地したところで、カースは衝撃波を放つ。


 ラファールは魔力を放って、それを中和する。


 無傷だ。


 

 カースは上段斬りから、下段斬り、そして、突きと3連撃を繰り出す。



 ラファールは全てを見切ったようにかわしていく。



 カースの突きが空振りに終わったところで、ラファールの剣がカースに斬りかかる。


 速い。


 ぎりぎりでかわすが、額を切り出血した。


 カースの視界が霞む。



 観客からは歓声が上がる。


 そこからは、魔王が一方的に攻めた。


 アーマードラゴンプレートも魔王の剣を受けてボロボロになっていく。


 肩や、足、腹部、頬、様々なところから出血が止まらない。



 

 ただ、カースの目は諦めていなかった。






 魔王がカースの腹部を貫く突きを放った瞬間、カースはそれを避けずに、ラファールの心臓を魔剣で貫いた。



 ラファールは、そんなことがあるのか?というような顔をして、自らの心臓に刺さった剣を見る。


 カースは腹に刺さった剣を抜き去ると、大量の出血をして倒れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る