逃避行

 アデラとカースは南へ、南へと進んだ。


 最初、2人が初めて出合った森へ行ってみた。


 そこで1週間くらい過ごしたが、そこには以前蹴散らした野盗がたまに現れる。


 アデラとカースなら野盗が1,000人いたとしても敵ではないが、あまりもめたくはない。


 2人は持てるだけの食料を持って、さらに南へと進む。


 東に海を臨む洞窟を見つけた。先客もいないようだ。


 洞窟の奥は天然のエアコンのようになっていて過ごしやすい。


 毛皮を敷いて、寝床にする。


 アデラとカースはお互いの体を求めあっていた。


 原始的な生活をしているからなのか、お互いに性的な欲望に溢れていた。


 アデラは裸になって、カースのものを受け入れる。愛する人に求められるということが、こんなにも嬉しいものなのかと思う。


 食事の時以外は、ほとんどずっと2人裸になってお互いを求めあった。


 シロは完全に猫のふりをしてごまかした。


 2人のハネムーンと言ってもいいのかもしれない。


 カースの体はそれまでの激戦であちこちに傷跡が残っていた。アデラはその傷跡を、きれいな舌でぺろぺろとなめてあげる。


 カースは、天国にいるのかと思った。こんなにも綺麗な少女が自分の妻なのかと。



 1か月経った時に、また、修行を始めることにした。


 素振りから連撃、そして組手。


 兵士達の鍛錬の時間がなくなった分、修行に専念できる。



 さらに半年が経ち、カースは18歳、アデラは17歳になった。


 この頃になると、カースとアデラの組手はほぼ五分五分の勝率までになっていた。


 接近戦のみであれば、アデラと同等の戦力というところまでカースも成長した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る