第 7回   老いぼれヒャダイン  

さて、今回はドラクエⅣにて、唯一ヒャダインの使い手となる魔法使いブライについて考察していくことにしよう。

 

 ブライはサントハイム城に仕える宮廷魔術士(魔法使い)であり、王女アリーナの教育担当でもある(視るからに)老齢の人物である。

 その旅の始まりも、このアリーナ姫のおてんばな性格に付き合わされる形で、半ば強制的に連れ出されたといったものだった。要はお供である。

 第2章が『おてんば姫の冒険』という題目タイトルを謳っているように、あくまでこの章のメインはアリーナ姫様なのだ。

 そう、ブライは導かれし者の1人でありながら、本章においての扱いはあくまで、姫様のお供に過ぎないのだ。

 それを、言い出すなら同じくアリーナを心配し共について行くことになった神官クリフトにも本来ならば全く同じことがいえるわけだが、どういうわけか、章の脇役的イメージとなると、このブライ爺が真っ先に想起されてしまうのは、やはりその年齢、ビジュアルからくる偏見があるからなのだろう。

 

魔法使いブライ、その容貌は腰は曲がっており、頭皮も禿げあがっていて、年齢は不詳だが、優に七十代半ば以上を思わせる。

 片やクリフトは甘いマスク?の若き神官である。確かに、この見た目の印象の差は想像以上に大きいかもしれない。

 そもそも、こうしたRPGの主要キャラとして、このような出で立ちの老人が実装されるのは、当時としてはなかなかに冒険的だったのではないか。

 事実、ドラクエシリーズでもこのような高齢キャラはブライが初登用であり、彼を除けば、次に老人キャラが主役級で登場するのはⅦまで待たねばならない。

 しかも、そちらは老人とはいえ、世界を救った神の兵、英雄メルビンである。一国の老魔法使いとは全く存在感が異なるのだ。

 最もこのⅦでは、そもそもが、漁師の息子である主人公他、おマセな少女マリベルオオカミ少年ガボのように主要キャラが子供ばかりなので(アイラを除く)、そこにヘンテコな得たいの知れない高齢の英雄が混じっても違和感はないのだ。口調が~でござる。でも問題ないのだ。 あ~メルビン土瓶ハゲ茶瓶♪♪

 

 ※ちなみに、前作Ⅲの魔法使い(男)も、高齢のキャラとしてデザインされてはいたが、こちらは、プレイヤーが酒場で登記するメイクキャラのため、Ⅳのブライのような人格キャラクターとは、言えないという解釈のつもりなので悪しからず。

 ここでは、あくまで設定のあるキャラクターについての話として捉えて頂きたい。


今でこそ大人なったドラクエ少年たちだが、やはり当時は子供である。RPGに求めるのはやはり見た目的にも分かり易くてカッコいい主人公だったと思う。

 なぜなら筆者もそんな思い持つひとりだったわけだから

 

 もしかしたら、「このブライって爺ちゃんが堪んねぇぜ! この渋さが最高だね」 なんて言っていた小学生は居たかもしれないが、それは極少数だったに違いない。

 小学生に、このシニアの魅力はちょっと伝わらなかったとて当然であろう。

 

 そんなビジュアルイメージで既に失点していたブライに対して更に追い打ちをかけたのが、ライバルであるマーニャの存在であったといっても過言ではないだろう。


占い師の妹とともに第4章に登場する踊り子マーニャだが、こちらはダブル主演といった形で双方が主人公といえる物語だ。つまり、誰がどう見ても枠役ではないのだ。

 そして何よりそのビジュアル。褐色の小麦肌と露出度の高い衣装を身に纏い、一見術師には視えないその姿とは裏腹に、ギラ・イオ・メラといった派手な攻撃呪文を使いこなすというギャップはこれまたなかなかにインパクト大であった。

 

 よぼよぼの爺さんが行使する氷系呪文ヒャド系と、なんだかセクシーなお姉さんが放つド派手な閃光系呪文ギラ系爆発系イオ系を比較したときに、どちらに魅力を感じるであろうか・・・ という話である。


 当時、小学低学年だった筆者も、やっぱりマーニャがいい!とスケベ心を隠さず真っ正直に呪文使いとしてマーニャを推したのはいうまでもない。


 ただし、筆者の好みからすれば、活発で明るいおてんばキャラのアリーナのほうが好きだったのは言わない約束である。彼女は呪文は使えない脳筋代表選手なのだから


 さて、ここまでご覧いだだき、薄々感ずかれた方も多いとは思うのだが、今作でのヒャド系及び、ヒャダインの冷遇はこの人選の時点で既に始まっていたのである。

 

 さぁ、果たしてこの冷遇ぶりの中、最後にどう藻掻くのか 頑張れヒャダイン

To Be Contiued


 

 



 

 



 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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