第7話g

音だけの世界に近い世界。


何もなくお茶を置く小さな小窓だけがある部屋。

白くくすんだ色の部屋。トイレとベットだけがある部屋。

情報が限りなく少ない


担当は青白い男から大きな男に変わったようだ

一回目とは違う位置の隔離の部屋のようだ

(すいませーん)から(お願いしまーす)(お願いします)まで言い方が変わるまでさほど時間はかからなかった(怖い)

トイレを流すのも頼まなくてはならなかった

ドアは鉄製で重く監禁されてるのかと思うほど


閉鎖的だった


音だけの世界に近い世界。

ここはすごく音が反響した

なんなんだ?がなんなんだ?を呼び続ける状態が長い間続く頭の中が遊びだす危険な遊びだ


顔がみえない色々な人々の会話ではない何か暴力にも

近いような音そんな世界が広がって行く

色んな人が行き来していた

(これは秘密事項だから)(順調ですか)高級車のドアが閉まる音

(顔を見ては絶対いけない)そんな音もあった気がした


そんな中でもルールがつくられてく音の世界


兵隊の訓練の音 子守唄 若い女性の声 知らなくていい事

ドライヤーの音 定期的な大きな笑い声 看守が見回るかのような革靴の歩く音 ガシャッという引き金みたいな音

なぜかプログラムでもあるかのように

定期的な大きな笑い声

ルールがつくられてく絶対的な監視

天井にはいくつかのスピーカーのような穴があった


(実験)隔離(実験)隔離

すべてを忘れなさいすべてを忘れなさい

そうしないとそうしないとそうしないと


どんどんルールが出来て行く中なぜかこの実験によって

自分が自分でなくなる(自分が自分でなくなる)

自分が自分でなくなる


小さい小窓から反対の隔離の部屋が見えた若い男がこっちを見てた目があった


(殺される)そう呟いていた


相手にはどう聞こえただろうか聞こえるはずもない音が

なんという時間の流れ方だ視界が熱くなる


面会は父親と母親だけに限定していた

その事が急に怖くなりなぜか保険屋さんの女性(プライベートでも交流のある強い女性)も追加してくださいとかなり切羽詰まったかんじで見回りにきていた青白い男にたのんだ観察の時に見舞いによく来ていた母親がパタッとこなくなったからなのかもしれない


なぜか両親の安否が心配になった


そんな中またあの大きな男が実験にやってきた

殺されると思い(全て忘れている)(僕は気が狂っている)

そう言い聞かせた冷静でいたら生きていけない

ここでは


座りながら仏になった体がチックタックチックタック動いたチックタックチックタック

(どうするのよ)と女性(俺はここまでだからわからない)

実験をなげだしたようだホットした

大きい男は帰って行った

だがチックタックチックタックチックタック

体の動きがとまらない(やばい)(本当にやばい)視界に入らない全てが闇でその全てが僕を否定している(なんとかバランスをとらないと)視界が黒と紫の二色に分かれてゆく

横に縦にこの後はどうなったか覚えていない


どうやら助かったみたいだと今は思う

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