第30話 ケヴィン様とロビン君
私はエルメントルート・ゾフィーナ・ロッテ・ヘルトル公爵令嬢の三女に産まれました。
私には幼い頃から婚約者がいることは知っていたけどお会いしたことは無かった。
そして…どうも最近、大きな石に当たり気絶して目が覚めたら見知らぬ屋敷の部屋にいて…物凄く額が痛くて痛くて叫びまくっていたら医者の先生が薬をくれて飲みましたわ。
まだ痛みは引かないけど、
見知らぬ顔の良い年上の男性と何だか美少年が側で
「記憶喪失!?」
とか言って慌てていますわ。あら?私は記憶喪失なの?
それにしてもここは一体?
先生や男性と美少年から説明されてようやく、この顔の良い男性が私の夫で子供の方は私が産んだ子だと言う!!
いつの間にか結婚してるし、子供までいますわ!!
私…15歳だと思っていたのに急に母親と言われて混乱しましたわ。
とっくに成人してましたのね。
ちょっとした時間旅行のような感覚ですわね。お父様なんかかなり老けてたし!
そ、それにしても。
顔がいい!私の婚約者様がまさかこんな顔の良い旦那様だなんて!!てっきり愛人がいるかと思うと2人の様子からそうではないみたいなの。
ロビン君も美少年だし!な、なんて目が眼福なのかしら!!?
ケヴィン様は私を心配し、執務を中断して度々容姿を見に来たし、手を握られかなり恥ずかしくなった。
こんな顔の良い方が私なんかを!夢じゃないわよね?
ロビン君も私の事をお母様と呼び、綺麗な花やお菓子を持ってお見舞いに来ました。
や、優しいし!美少年だし、旦那様も素敵すぎて鼻血でそうですわ。
早く思い出したいけど頭がまだ痛い。
額の腫れは治まってきたけど、鏡を見ると15歳から成長した自分がいた。やはり…地味。な、なんでケヴィン様は私みたいな地味な娘と結婚したのかしら?やはり家が公爵家だから?
結局お金なのかしら?
で、でもそんなにお金に汚い人だなんて思いたくないし、少なくとも私の心配はしてくれてるわ。戸惑うが顔が良いので嬉しい気持ちもあります。
私…あの人とどんな恋をしたのかしら??
それからもケヴィン様やロビン君は覚えてない私を連れて屋敷の中を歩かせました。見覚えがあるような無いような感覚だわ。
ケヴィン様が
「寂しかったら一緒に寝ようか?私達は夫婦だからいつもは一緒に寝てるけどエルが記憶を無くしてからは混乱するだろうから別にしているけど、
私達はとても仲の良い夫婦だよ」
と言っていましたわ。浮気もしてないし何より…私を見つめる目が本気でしたわ。
は、恥ずかしくて直視できないくらい顔が良いですわ!
*
夜、何となく寝付けなくてトイレに起きて屋敷を彷徨っているとある部屋からボソボソ声がした。
?
何かしら。ここは確か、ロビン君のお部屋??
私は聞き耳を立てた。
「……だから……その場所へ行けばお母様が本当に思い出すと?確証はあるのですか?
思い出したとして真実まで思い出したら…きっとお父様も僕も叱られそう」
とロビン君が何だかいつもと違い大人びた口調をしている。
そう言えば、ロビン君は婚約者がいると言っていた。今度、絵画を見せてくれるらしい。
「あの場所へ行って思い出さなければそれはそれでいいわよ!」
んん?「わよ?」
何故ケヴィン様が女口調なのかしら?
「そうしたら…一から愛せばいいの!私にはエルしか愛せないのよ!他の女じゃ無理なの!」
「可哀想に。お父様の変態性をわかってくれるのお母様だけですもんね」
「んん…、ちょっと違うけどね。ていうか親を変態呼ばわりしるんじゃ無いの!!この子は!また締めるわよ!」
「子供に本気でジュウドウとやらをしないでよ!!」
と言い合いをしているが、
え!変態なの?ケヴィン様!?それに…ジュウドウとは何…
そこで頭がズキリとした。
「うっ!!」
としゃがみ込むと気配に気付き2人が慌てて出てきた。
「エル!?ど、どうしてここに?」
「まさか今の聴いてたんじゃ?」
「…な、何のことでしょうか?私トイレに行こうてして迷って…」
と頭を押さえつつ誤魔化していたら
「そう…、とにかく頭が痛むなら寝室まで送ろう。ロビンも夜中まで起きてないで寝なさい」
「は…はーい」
と一瞬、ロビン君が黒い目になり。まるで死んだような目になった!!
「お母様おやすみなさい!」
と美少年から頰にキスされた。まあ、可愛い!
さっきのは見なかったことにしておきましょう。
「エル、頭大丈夫?歩くのが辛いなら」
とひょいと私をお姫様抱っこして歩くケヴィン様に一気に熱が集まる。
きゃああ!これが本で読んだお姫様だっこですの?
ケヴィン様は
「…はあ、辛い」
とかぶつぶつ呟いていた?
私をベッドに下ろして布団をかけると
「エル、怪我治ったら…ファインハルスの避暑地に行こう。私達の思い出の地だから、きっとエルの記憶も戻るかもしれない」
と言う。さっきの思い出の場所てそこのことなのね?
「わ、わかりました。思い出せるかどうかはわかりませんが行ってみますわ」
「も、もし思い出せなかったら…もう一度私を好きになってくれるよう努力するし、私の秘密も教えるよ!」
と言う。まさか!秘密って!さっきの変態とかいう!?
どうしよう、こんなに顔が良いのに変態なのかしら?この人。
でも、顔が良いから許せるような!
で、でも変態!?
と私は混乱しながら眠りにつき、
ようやく怪我が治った頃に避暑地に行く事にした。ロビン君もいた。
「お母様とお父様の思い出の地…。僕も昔からよく行ってるあそこでしょ?」
「そうだよ!あそこがなかったら私達は結ばれなかったかも!」
と言う。一体どんなところかしら?
私は馬車に乗り込みその場所へ向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます