第25話 クリスマスとはなんですか?3

 最近。お父様とお母様の様子が変だ。子供ながら、僕は察した。


「絶対に何かを企んでいる」


 今までもお父様のおかしな女口調で周りの子達とあれ?何かおかしいぞ?うちの親ちょっと変かも?

 と感じていた。


 最近はお父様が庭の幼い木を庭師と一緒にわざわざ引き抜いて何と家の中に入れていた!!



 訳のわからない行動でこっそりと覗いていると引っこ抜いた木に何やら気持ちの悪いお腹とかから綿が飛び出た人形等を飾りつけていた。


 正気の沙汰じゃない…。


 人形は首吊りみたいになってて余計に怖い。夜にトイレに行く時、蝋燭の光で照らされたらめちゃくちゃ怖い。

 反対にお母様の作ったものは普通に良かった。丁寧に綺麗に縫われていて売り物と変わらない。流石お母様だ。やはりお父様とは違うな。


 ある日、お母様に問われた。


「ロビン?何か欲しいものとかあるかしら?」


 欲しいもの?

 いきなり何だろうか?


「お母様、一体何のつもりです?この所お父様と何かしていますね?


 庭の木を引き抜いて家の中に入れて気持ちの悪い人形を飾るなんて、頭がおかしくなったとしか」

 と言うと、


「ロビン、あれは気持ちの悪い人形じゃないわよ?お父様が作ったのよ」

 と言われて僕は死んだ目になった。


「お父様があの気持ち悪い人形を作ったの?」


「確かにちょっとお腹から綿を出して首を吊られているし、目は取れかけてるけど、お父様なりにロビンを喜ばそうとして一生懸命作ったのよ?


 お父様不器用だから」

 とお母様はお父様を庇った。


「そんな、僕を喜ばす?泣かせるの間違いじゃ?僕じゃない子供なら絶対に泣いてますよ」

 と言い切った。

 僕は耐性があるからいいけど、他の子供がこれを見たらまず間違いなく泣く!


「まぁ、そう言わないで。

 ほら、欲しいものよ。何かある?」

 と聞かれて警戒しつつも考える。

 欲しいものか。改めて言われると困る。本はたくさんあるし、おもちゃなんて片付けるのも大変だし飽きる。


 むしろ問題なのはお父様だ。お父様の顔を見てると女口調の時のギャップが離れない。あんまり見ないようにしたいから顔をすっぽり隠せる仮面とかどうかな?


「じゃあ仮面がほしいです。お父様の顔あんまり見たく無い」

 と言った。


「お父様が泣くわ。もっと子供らしいものにしなさい」

 とお母様が呆れてアドバイスする。


「ええ?うーん。

 なら、友達がほしいです!」

 と言うと今度はお母様が死んだ目になり、結局いろいろ文句などを言われ妥協してとりあえず子供らしくすれば良いんだろう?と


「望遠鏡が欲しいです…」

 と言って終わった。

 何だか僕に誕生日でもないのにプレゼントを贈ろうとしているのが見え見えなのだけど、僕はもう口を出さず見守ることにした。疲れるから。


 *

 それから数日後、なんかお母様とお父様がどうもソワソワしている。あの気持ちの悪いツリーはまだ飾られていた。いい加減撤去して欲しい。


 夕飯が済むと僕は


「お父様、お母様、おやすみなさい」

 と2人にキスをして部屋で眠ることにした。だが、なんか様子がおかしいのが気になる。寝付けなくて布団で本を読んでいると足音が静かに聞こえ僕はハッとして寝たフリを決め込んだ!


 ギィィッ


 と扉が開く音と、ヒソヒソ声がする。


「よしよし、ふふふ、よく眠ってるみたいね?」

 とお父様の声だ。


 僕は薄目でぼんやり確認した。

 すると嘘でしょ?

 と思うほど2人がイカれた格好をしている!


 赤い服に髭をつけたお父様に赤い服に短いスカートの足を出した、はしたないお母様!!


 何!?


 はっっ!!


 そういえばあのツリーに飾ってあった赤い服の人形とそっくりの格好だ!!

 ま、まさか、お父様達、僕のことが子供らしくないから要らなくなりあの人形みたいに、お、お腹を引き裂き……!?


「ぎゃああああああああ!!」

 僕は錯乱しお父様に向かい、指を突き出して鼻の穴にズボッと思い切り入れてしまい、


「ふがあああああー」

 と言うお父様は鼻血を出しながら痛がった!


 僕は枕元に仕込んでいた短剣を取り出した。暗殺者対策のものである。


「こ、この、不審者があああ!や、やられてたまるかっ!!し、死ねええええ!」

 とブンブン短剣を無我夢中で振り回してたら鼻血を流したお父様に


「やめ、辞めなさいよ!こら!!おいいい!!あっぶな!!」

 と避けられる。


「黙れ、この不審者目があああー!死んでたまるかああああ!!」

 と振り回す。しかしお父様に手首を弾き落とされ短剣が床に落ち、お母様が拾い上げ短剣をサッと隠してしまった。


 そしてお父様に前から手首を交差され、両手の拇指を内にして横襟を掴まれて頸部を圧して絞められた!


【並十字絞】


 と聞こえたのを最後に意識が無くなった。


 *

 翌朝、枕元にプレゼントの長細い包みが置いてあり、望遠鏡だとわかった。

 扉の隙間から目がのぞいており、お父様達が見ている。


 昨日のは何のつもりかと思ったが、仕方なくプレゼントを開けて


「わぁー、欲しかった望遠鏡だー、やったー」

 と演技をする。お父様は嬉しそうに入ってきて、


「あら!良かったわねーー!きっとサンタさんからのプレゼントよー!ロビンが良い子だから!!


 サンタクロースのお爺さんは良い子にプレゼントを置いて行くのよ!!」

 とお父様は言う。お母様は全てを察して死んだ目になっていた。


 よくわからないが、サンタと言うのに化けてプレゼントをこっそり渡したかったようだ。僕を殺そうとしたんじゃなかったんだ。良かった。


 その後、豪華な食事が出されて僕たち家族に使用人達も一緒によくわからないクリスマスと言うものを体験させられた。きっとうちだけだろうな。ますますうちが変な目で見られないことを期待するよ。



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