第24話 クリスマスとはなんですか?2

「ロビン?何か欲しいものとかあるかしら?」

と私はロビンにそれとなく、クリスマスプレゼントの願望を聞いてみた。

5歳にしてちょっと冷静というか、警戒心のあるロビンは、あからさまに私を警戒してきた。


「お母様、一体何のつもりです?この所お父様と何かしていますね?


庭の木を引き抜いて家の中に入れて気持ちの悪い人形を飾るなんて、頭がおかしくなったとしか」

と言う。


「ロビン、あれは気持ちの悪い人形じゃないわよ?お父様が作ったのよ」

と言うと死んだ目になる息子。


「お父様が、あの気持ち悪い人形を作ったの?」


「確かに、ちょっとお腹から綿を出して首を吊られているし、目は取れかけてるけど、お父様なりにロビンを喜ばそうとして、一生懸命作ったのよ?


お父様不器用だから」

とケヴィン様を庇うとロビンは


「そんな、僕を喜ばす?泣かせるの間違いじゃ?僕じゃない子供なら絶対に泣いてますよ」

と言い切った。

どうも息子は子供らしく無い。


「まぁ、そう言わないで。

ほら、欲しいものよ。何かある?」

と聞くと警戒しつつも考えだした。


「じゃあ仮面がほしいです。お父様の顔あんまり見たく無い」

と言った。


「お父様が泣くわ。もっと子供らしいものにしなさい」

と何故か私の方がアドバイスする。


「ええ?うーん。

なら、友達がほしいです!」

と言う息子に今度は私の目が死んだ。

ロビン、貴方…。友達がいないのね。

そうよね、精神年齢が他の子よりも上でお茶会などで小さい子が来てもロビンは1人で孤立しており、大人びた感じでいるし、こないだは何処かの老夫婦とチェスをしていた!


「僕のレベルに合う友達をください!」

と付け足したのでゴンとゲンコツした。


「痛っ!」

と涙目になる息子に


「物よ!物体!生き物は無理です!ダメです!」

と言うとロビンは


「いろいろ注文が多いなぁ…。うーん。

なら、手袋を下さい」

と言った。


「まぁ、手袋?」


「はい、大人用です。色は青か緑の好きな物で、構いません」

と言うからなんかおかしいぞ?と思い出した。


「どうして大人用なの?」

と聞くと


「こないだお父様が街に買い物に行った時に、財布泥棒をぶん投げて、付けてたお気に入りの手袋が破けて、ちょっと泣いていたので、気の毒に思いました」

と言った!!

ケヴィン様!プレゼントのプレゼント返しされてますわ!!


「お父様のことはいいの!貴方の欲しいものよ!」

と言うとロビンは死んだ目になり


「普通の両親が一番欲しい」

と言ったので私も死んだ目になる。

いや、私も普通の息子が欲しいのだけど…。


結局ロビンは妥協して普通の子供が望むような


「望遠鏡ください」

と言い、ため息をついて終わった。

ケヴィン様に真実を伝えるのは辛すぎるので誤魔化すことにした。


その夜、ケヴィン様にロビンの欲しいものは子供用の望遠鏡だと伝えると


「まあ!望遠鏡?やっぱり男の子ね!冒険したいのよ!!」

と素直に喜んでいた。とても妥協で望遠鏡が欲しいと言ったとは言えないわ。


「それより見てこれ!」

とケヴィン様は仕立て屋に頼んでいたサンタの服を取り出した!!真っ赤な生地で本当に不審者かもと思いそうだけどケヴィン様はそれを試着すると、何だかとてもカッコよく見えた!


「うっ!ケヴィン様、よくお似合いですわ」

と言う。するとゴソゴソと私の分も出してきた!私のはズボンではなく短いスカートで驚いた!!


「な、何ですか?この短いのは!寒いし足が出ていやらしいわ!!」

と怒るとケヴィン様は舌を出して


「女性のサンタ衣装は前世ではそんな感じなんだから、私に文句言わないで前世の考えた人に言いなさいよー?」

と憎たらしい。


仕方なく私も着替えるとケヴィン様の目がハートになり、いきなり抱きつかれた!


「エル!可愛い!これぞ恋人はサンタクロース効果ね!」

と言ってる。


「恋人ではなく、もう夫婦ですが?」

と言うと


「うふふふ、イチャイチャしたいけどクリスマスまで我慢しましょう!」

と言い、サンタ服を丁寧に脱いで畳んで隠すことにし、当日の打ち合わせを始める。


前日の夜にロビンが寝たら、こっそりサンタの服を着てプレゼントを枕元に置いておく。その後は寝室に戻りイチャイチャし、朝になりロビンが目覚めてプレゼントを開けると


「メリークリスマス!!」

と言い、扉を開けてクリスマスソングを歌い、料理人の振る舞ったご馳走がテーブルに並び、ロビンも私達も幸せに過ごすと言う計画だ。


まぁ、ロビンはもう何か悟っているけど、内緒にしておく。


そしてとうとうクリスマスの前日になった。今日はイブと言うらしい。

ロビンが寝付くまでソワソワして過ごした。


「お父様、お母様、おやすみなさい」

とロビンは私達にお休みのキスをして自分の部屋に入っていった。


「さあ、私達も準備しましょう」

とケヴィン様と私は赤い戦闘服、ではなくサンタの服に着替えた。今日はきっちり髭をつけて私もつけようとしたら


「女性は髭つけなくても良いのよ!!」

と言われ、ロビンの部屋に向かったのだった。

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