(紹介インタビュー)白き賢者カミル=シャドール


「今日は何用かね、ルヴェリエリウ。約束通り酒でも飲みにきたのか」


「いいえ、カミル様は火属性だから、お酒は火事になって危険だってゼオ君が言ってました」


「ほぅ。私は火属の魔物か」


「(黒曜姫が灰竜かいりゅうと呼ぶので)カミル様の正体は、火属のドラゴンさんですか?」


「…………(溜息)」


「?」


「まあいい、用事があるのだろう? ルヴェリエリウ」


「あっはい。インタビュー頼まれたんです。ええと、『読者の皆様からのりくえすと』だそうです」


「ふぅむ。その読者とやらが誰か、気になるがね。構わんよ、答えられることなら答えてやろう」


「はい、ありがとうございます! ひとつめの質問は、『自己紹介をお願いします。』です」


「私の名はカミル=シャドール、大陸の地理と生物学の研究をしている学者だ」


「……以上ですか?」


「見た目で知れる程度のことを、自ら紹介する意味はあるまい?」


「ハイ、……了解です。(カキカキ)二つめの質問は、『好きなモノ、嫌いなモノを教えてください。』です」


「ずいぶんと曖昧あいまいな質問だな。好きなモノはおまえという事にしておこうか、ルヴェリエリウ」


「……(瞬き)わたしですか? ありがとうです!(笑顔) 他に食べ物とか、動物とかはないですか?」


「そうだな。青い、鳥が好きだよ」


「鳥さん、……青限定なんですか?」


「ああ。白や黒や赤や金の鳥は、要らぬよ(含笑)」


「……了解です。(カキカキ)嫌いなモノはありますか?」


「森王国で最近話題の、果実の醸造酒があるらしい。一度飲んでみたいと思っているのだが、どうかね?」


「……? 嫌いなモノ、ですか?」


「嫌いと言えば、いやがらせにゼオが届けてくれるのではないかと思ってね」


「ゼオ君そこまで気が利かないと思うですよ」


「そうか(笑)」


「今度、森王国のほうに行った時に探してみますね。(カキカキ)三つ目の質問は、『得意なこと、苦手なことを教えてください。』です」


「得意なことは魔術原理の解析と法則の定義化、それを応用した魔法式の開発と合成、だな。現状に支障をきたすような苦手は、特にない」


「魔法の話をしている時のカミル様は、本当に楽しそうですよね。(カキカキ)四つ目の質問は、『一日をどんな風に過ごしていますか?』です」


「寝たい時に寝、起きたい時に起き、好きなことをして暮らしているよ。最近は以前より隠遁いんとん生活では無くなったが、それでも依然いぜん、館にもって研究と執筆をしている時間がほとんどだ」


「カミル様の書いた本は、専門書なのに言い回しが平易で解り易い、て学院のみんなが言ってました」


「ほう、それは嬉しい話だな」


「では、五つ目の質問いきますっ。『今後の抱負を聞かせてください。』です」


「別段これと言った抱負はない。したいことなら沢山あるが(笑)」


「学問の追究に終わりはないですもん。頑張ってください! それじゃ、最後の質問です。『願いごとを何でも一つだけ叶えられるとしたら、何を願いますか?』です」


「……愚問だな」


「そうですか? 叶わないって解ってるからこそ、なんだって言えちゃう気がしますけど」


「おまえはあるのか、ルヴェリエリウ」


「はい。わたしは、過去に戻ってママに逢って、ありがとうって伝えて抱きしめてキスをしたいです。カミル様は、そういう望みってないですか?」


「……私はおまえのその、覚えてもいない母親を自慢げに語る姿が不思議でならぬよ。何一つ記憶に遺っていない相手を、愛せるものなのか?」


「うん、そんなに難しくないと思うですよ。今度はそういうお話、ゆっくりできたらいいですね(笑顔)」


「…………」


「質問は以上です。ありがとうございました、カミル様」


「いや、この程度礼には及ばぬよ。また何かあれば、遠慮なく呼ぶがいい」





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 やはり、掲示板でエレナーゼTRPGシェアーズの企画をやっていた頃に、読者さんのお手紙を受けて書いたものです。

 今も昔も白いお方は人気があるんですが、なぜなのか……(笑)




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