(小ネタ)レジオーラ卿は彼女に謝りたい


「パパ、酔っぱらったフリして無闇に人に絡んじゃダメっ」


「ごめんごめん、ちょっと気になったんだよ。ルベルは今の魔族ジェマ君を見て、どんな印象を受けたかな」


「綺麗な方ですよね。無口ぽいけど、優しそうでした」


「…………え? 怖いとか冷めてるとかじゃなく?」


「パパは怖かったんですか?」


「いや、……んー、気にしなくていいよ。そうか、成る程、……そうなのか」


「?」






「なあ、ルウィーニ。前から思ってたんだけど、ルベルの人を見る感覚って、少しズレてやしないかい」


「うん? なんだい突然」


「実はさ。かくかくしかじかでさ」


「はははは、そりゃ確かに相当変だね」


「……喧嘩売ってるのか、貴様」


「これくらいで怒るんじゃないよ。そういえば、白き賢者カミル殿に会った時も、全然動じたふうじゃなかったからなぁ。肝が据わってるのは母親似じゃないかい?」


「……」


「加えて、大好きな父親パパは国内一胡散うさん臭い人物だし、二面相のフェトゥース国王に、態度のでかいラスと、全然笑わないドレーヌ卿、地顔が笑顔のセロア、ぱっと見ヤンキーなゼオ……、イロモノ揃いな環境で育ったせいで妙な耐性がついたのかもね」


「…………」


「専属教師は海賊風の不良魔術師だしね」


「……僕、これからレジオーラの家に行って、リィンに謝ってくる」


「うん? すまん、もしかしてこの話題、笑い話じゃなかったのかね?」





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 わずか十歳で監獄島上陸を果たしたルベルに、怖いものなどあるだろうか。いや、ない。(反語)

 というわけなので、パパは当然戸惑いますよねって言う。


 笑い話じゃないって書いてますが、ロッシェの口からこういうふうにリィンの話題が出るようになったこと自体、彼の傷が癒えてきているって証拠なんですよね。



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