第7話 「シャイニング・プリンセス・ステラ、帝国通りにただいま参上!」

「ふぇ――?」


 M・E・Nめん超宇宙コスモス……ってなにそれ!?


「そう、そういうことだったのね。ステラ、あなたはそうだったのね――」


「えっと、わたしナニがナンやらで──」


「考えるんじゃない、感じるのよステラ。心の中のM・E・Nめん超宇宙コスモスを! そして熱く燃やしなさい! M・E・Nめん超宇宙コスモスを!」


M・E・Nめん超宇宙コスモスを燃やす――」


 M・E・Nめん超宇宙コスモス


 その言葉を脳が認識した瞬間――つまり、わたしが自分の心の中にある、M・E・Nめん超宇宙コスモスを認識した瞬間!


「そうか、そうなんだ。この心の中に抱きしめた熱い不思議な感覚が、M・E・Nめん超宇宙コスモスなんだね――!」


 わたしの中に「ビビビッ!」と一筋の流星が、ペガサスのように駆け抜けたんだ!


「ほあああぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!! 」


 わたしは、わたしの中に眠るM・E・Nめん超宇宙コスモスを高めていく――!


 すると銀河の極から、わたしの中にひとつの偶像アイドルが舞い降りたんだ――!


 わたしの身体が、ピンク色のM・E・Nめん超宇宙コスモスに包まれるとともに――!


 ジャキーン!

 ジャキジャキジャキーン!



 シャイニング・アイドル・ドレス!


 シャイニング・アイドル・ニーソックス!


 シャイニング・アイドル・ブーツ!


 シャイニング・プリンセスティアラ!


 そして最後に、何物をも打ち砕くシャイニング・バスターライフル!



 戦闘衣クロースがわたしの身体に、次々と銀河蒸着されていく!


 そして現れづるは――、


「銀河の翼に希望のぞみを乗せて、届け平和のラブソング! 銀河系アイドル! シャイニング・プリンセス・ステラ、帝国通りにただいま参上!」


 イグニッション・スペルともに、わたし――シャイニング・プリンセス・ステラは、M・E・Nめん超宇宙コスモスの導くままに、かっこいい登場ポーズをとった!


「ヴァッ!!??」


 いきなり現れたシャイニング・プリンセス・ステラ(わたし)を見て、魔獣が驚きの声をあげた。


 しかしそこは物語に出てくる、ひとかどの魔獣だ。


「ヴァッ!!」


 すぐに魔物は必殺の無慈悲ビームを容赦なく放ってきた。


「ステラ、危ない! よけて!」


 アスカムーンの悲鳴のような声が聞こえるけど――!


 ギャイーン!


「ヴァッ!!??」


「甘いよ! そんな攻撃じゃ、シャイニング・アイドル・ドレスの銀河究極防御力の前には、薄皮一枚傷づけられないんだから!」


「ヴァッ!! ヴァッ!! ヴァッ!!」

 必殺の無慈悲ビームを完全に無効化された魔獣が、駄々っ子みたいに地団太を踏んだ。


「悔しそうだね! じゃあ今度はわたしがお返ししてあげる!」


 そう宣言すると、わたしはシャイニング・バスターライフルをシュバっとかまえた。


「行くよ、必殺――!」


 シャイニング・バスターライフルに、ものすごい勢いでM・E・Nめん超宇宙コスモスが溜まっていく!


 なにもかも、全てがはじめての経験。


「だけど何をどうすればいいかは、M・E・Nめん超宇宙コスモスが教えてくれるんだ──!」


 わたしは、この燃え上がるM・E・Nめん超宇宙コスモスに、身を委ねているだけでいいんだもんねっ!


 シャイニング・バスターライフルが、全てを薙ぎ払う冒涜的な破壊力に満ち満ちてゆく――!


「チャージ完了! 充填率120%! 最終セーフティ解除アンロック! 喰らえ――、蕎麦・荷電粒子砲!!」


 わたしのイグニッション・スペルによって、シャイニング・バスターライフルに貯めこまれた荷電粒子・蕎麦粉が、一気に解放される!


 濁流のごときピンク色のスーパー荷電粒子ビームが、シャイニング・バスターライフルから放たれた!!


「これは! まさか大量の蕎麦粉をM・E・Nめん超宇宙コスモスで荷電させて収束させ、一気に撃ち放ったというの!?」


 アスカムーンが「ハッ!」っていう顔をした。


「たしかに、小麦粉が混じってない純度100%の蕎麦粉は、理論上はM・E・Nめん超宇宙コスモスが最も荷電しやすい粒子! でも、これだけの膨大な量ともなると、ものすごい精密なM・E・Nめん超宇宙コスモスのコントロールが必要だわ! わたしでもできないような神業を、まさか一瞬でやってしまうなんて!」


 アスカムーンはそのまま、バトルものの解説キャラみたいに丁寧な解説をしてくれる。


 ありがとうアスカムーン!


 そんな間にも、シャイニング・バスターライフルから放たれた蕎麦・荷電粒子砲は魔獣を直撃すると、


「ヴァッ……」


 蚊の鳴くような声だけを残して、粉みじんに粉砕したのだった。


「アスカムーン、後はまかせたよ!」


 わたしの言葉に、アスカムーンがイグニッション・スペルを唱える。


「汝のあるべき物語に戻れ――ノベル・イン!」


 既に消し炭寸前の魔獣が、アスカムーンの背負う巨大な本に吸いこまれていった。


 完全に吸いこまれたのを見て、


「はふぅ……」

 わたしは大きく息を吐きだした。


 わたしたち――、シャイニング・プリンセス・ステラとアスカムーンは勝ったんだ!

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