第一回神ひな川小説大賞

あとがき

1、神ひな川小説大賞に参加しました


滅びの国の氷姫 - https://kakuyomu.jp/works/1177354054919040924


 企画に参加すれば講評を頂けて、感想を頂ける確率も上がる。

 すっかり味をしめた三谷は意気揚々と神ひな川にも参加することにいたしました。

 テーマは「ハッピーエンド」。良い読後感。

 ハッピーエンド…………ハッピー、はっぴーとは…………?


2、好きなシチュエーションってあるじゃないですか


 何度も何度も書いちゃうような、好きなシチュエーションってありませんか?

 私の場合は「英雄/勇者と魔王」、それから「滅亡寸前の王国から、姫/王子を救い出す」の二つがそれにあたります。

 他にも「精神的にも肉体的にもボロボロになった人が、やっと安心して泣けるようになる」とか色々あるのですが、今回は「王女を救い出すお話」にしようと思いました。


3、字数制限一万字


 王族とか貴族とか、偉い人の名前って何となく長めにしたくなっちゃうじゃないですか。

 でもそれやると名前だけで結構文字数食うんですよ。

 元々長編のネタとして考えていたものなので、アレもコレもソレもとやっていたら一万字とか一瞬です、一瞬。バトルなんか書いたらそこだけで五千はいきます。

 でもねー、どうしても、終盤で「お互いの名前を連呼する」っていうのやりたかったんですよ。

 出来るだけ短めでなんか王女っぽい名前。うーんうーん。

 ちょうどその時、実写版アラジンの「Speechless」にハマっていました。

 アラジン。アラビアンナイト。千夜一夜物語。アルフ・ライラ・ワ・ライラ。よしライラだ!

 ネーミングにはいつも苦労をします。


4、Speechlessは良いぞ!


 日本語版も嫌いではないです。でも原曲の方が好き。

 口の形の都合とか、使える音の数とかでどうしても仕方がない部分はあるんですけど、日本語になるとどうしても可愛く大人しくお淑やかになっちゃいますね。

 殺せるものなら殺してみろ! 大人しく死んでなどやるものか! みたいな、あの怒りが凄く好きです。

 メルが最後に大鴉になったのはSpeechlessの影響が大きいです。


5、アビガイッレ推しによる大変偏った「ナブッコ」のあらすじ


 バビロニアの王女、アビガイッレは敵国の男イズマエーレに恋をしている。だが彼は、アビガイッレの妹のフェネーナと恋仲だった。

 戦況はバビロニアが有利。このまま父王ナブッコと共に戦争に勝利し、アビガイッレは父の跡を継いで女王になるはずだった。

 しかし、ナブッコの様子がおかしい。跡取りのはずのアビガイッレのことより、フェネーナばかり気にかけている。

 アビガイッレは、ナブッコが奴隷女に産ませた子供だった。彼女には卑しい奴隷の血が流れている。女王になるのはフェネーナだ。

 嘆くアビガイッレの元に、バビロニアの神官が訪れる。

「フェネーナは男の言いなりだ。好きな男に付き従うために、バビロニアの神を捨てて敵国のヘブライ教に改宗してしまった。フェネーナはナブッコのお気に入り。このまま彼女が女王になったら、バビロニアは乗っ取られてしまう。だから、アビガイッレ、ナブッコを倒して、あなたが女王になってください」

 恋した男も、父親の愛情も、女王の地位も妹のフェネーナに奪われたアビガイッレ。一度は女王の地位に着きますが、結局自国の神より愛娘フェネーナを優先したナブッコに追い詰められ、服毒自殺をすることになる。

 バビロニアの神はバビロニアの国王であったナブッコに忌まわしきものとして貶め辱められた。そのナブッコを、敵国のはずのヘブライ人が「王の中の王」と称えて、めでたしめでたし。


 アビガイッレ、大好きです。後半の展開が納得できないくらい。

 彼女には敵ばかりいます。味方になってくれる人があまりにも少なすぎる。

 ホイホイ男の言いなりになるフェネーナより、よっぽど女王に向いてると思うんですけどね、アビガイッレ。

 フェネーナってみんなに可愛がられてますけど、敵国の男が好きになったからって、あっさり自分の国の宗教捨てるとか無責任過ぎるでしょ。次期女王のやることじゃない。自国の民をどうする気だったのか。


 どうすればアビガイッレを救うことができるのか。そんなことをよく考えています。

 誰か一人でも、何があってもアビガイッレの味方になってくれる人がいれば。

 彼女が服毒自殺を測った時に、それを止めようとしてくれる人がいれば。

 土壇場で、アビガイッレを拐って逃げてくれる人がいれば、もしかしたら────


 メルは、そこから生まれました。

 どんな時でも味方でいて、ピンチの時に拐いに来てくれる人。


6、あんまりハッピーじゃない?


 自分としては超スタンダードなハッピーエンドのつもりでいました。が、頂いた講評を読んでみると、あんまりハッピーエンドっぽくない感じだったような…………?

 何でかなーと首を捻っていたのですが、「ライラが全てを失う話」だと指摘されて、なるほど!と納得しました。

 これはメルのハッピーエンドで、ライラのハッピーエンドではないのです。


 というか、何の救いようもない悲劇になるはずだった話を、最後の最後にメルの意地でひっくり返した話、みたいな。

 国は滅んだ。逃げ場は無い。後は自殺か殺されるのを待つだけ、みたいな状況に乱入して、王女が死ぬことだけは何とか阻止できた、みたいな。

 このまま悲劇なんかにしてたまるか。ハッピーエンドにしてやる。みたいな意地が、メルにはあったんじゃないかなあと後から思いました。


7、たぶん私はこれが好き


 救いようのない悲劇の中に、ほんの少しだけ希望がある話とか、

「悲劇にしてたまるかよ」と奮闘する話とか、

 多分、結構好きです。


8、最後に


 主催者の神崎ひなた様、闇の講評員様、また、読んで下さった方々に感謝いたします。

 本当にありがとうございました。


 



 

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