幕間(4.5幕) ― MIA ―

(・・・ふぅ・・)


私はノートパソコンのキーボードから手を離すと、天井を仰ぎ見た。

「前のギルドのこと話しちゃったけど、別にいいよね?」

CFOを終了した後、思わず声に出してしまった。


「・・ボルケーノかー。今、みんな・・たぶんLV上げの真っ最中かな?」


 私がボルケーノにいた期間は2週間ほど。そんなに長くはない。

LV40にもなってない時点でギルドに興味を持って、何の気なしに初めて入ったギルドがそこだった。そしてそのギルドで、もっぱらINするメンバーの大方がLV80、当時のカンストだった。

(文字通りレベルが違いすぎたんだよね・・)

会話を見ているだけでも、半分以上何を言っているのかわからない。聞こうと思ったこともあったけど、気が引けた。

(・・教えてくれた人も何人かいたけど、甘えちゃう形になるしね・・・)

短い期間だけど、悪い人はいなかった、初めてのギルド。辞める時も嫌味を言うような人はいなかった。何回か話した人とはフレンド登録もしてあるので、連絡を取ろうと思えば取れる。

(・・・まぁ、今いるギルドの方がLVも近いし、いいよね・・・あれ?)


 私は何かがふと気にかかった。違和感というか既視感?

(あの人は何故あの時、あんなこと言ったんだろう?・・・)



 ・・でも、この感覚の答えは見つからなかった。・・これ以上考えても、おそらくそうだろう。・・となれば、


「・・切り替える!明日も仕事だ!がんばるぞーー!」



 こうして自分に言い聞かせながら、その夜は眠りについたのでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る