第41話~第45話

「オレの恋人の手を出すな」

「何を言うんですか、ボクの恋人を惑わさないで」

仕事帰り、スーツを着た二人がにらみ合い。


「私のことで争うのはやめて」

そういって困った顔で顎髭を撫でた。


***


「この泥棒猫!」

オレっ娘とボクっ娘の喧嘩。どうしたものか。



クリスマスの朝,子供たちはプレゼントを手にして喜ぶ。その姿を眺めて幸せを感じる両親。しかし,子供たちは見ていたのだ。夜中にこっそりサンタクロースではない者が枕元に来ていたことを。しかし両親は動じることはない。業務委託契約書を作ってあったのだ。


年末年始というのはいつの時代も変わらず特別な雰囲気に包まれる。しかし、今では直接除夜の鐘を耳にすることもなく、初詣も含めてオンラインで済ますようになっていた。味気ないと言うのは人もいない。当然だ。肉体などなく精神のデジタル化時代なのだから。


サンタクロースは自宅でパイプをくゆらせていた。年に一度の大仕事。稼がないわけにはいかない。

やり残したことを処理しないまま年越しを迎えるのも居心地が悪いので、筆を執って便りをしたためる。債務不履行に基づく損害賠償請求書。今やサンタも業務委託の時代だ。


子供のころ、年越し蕎麦を用意してもらったときに、テレビなどを観ながら伸び切ってるくらい時間をかけて食べていた。除夜の鐘の後、新年になったタイミングで食べ終えようとしていたのだ。ただ、最近知ったのだが、大晦日のどの時間帯でも問題なかったらしい。

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