誰にも言えなかった少女の話





美保と別れて、電車に揺られながら窓の外を見る。





「なんか空も変な色。」





空は普通じゃない色になっていて、一気に現実を突きつけられる。あぁ、死ぬんだなって悟るような色。





降りるべき駅に着き、目的地に向かって足を進める。





着いた場所は、私が通っている高等学校。





向かった先は、美保の席。





「ごめんね、美保。私、嘘ついてた。」





美保に翔と最期を過ごすと言ったけど、あれは全くの嘘。なんなら、今私は誰とも付き合ってない。





確かに私は翔と一時期付き合ってた。でも三ヶ月も経たないうちに別れてしまった。





原因は、私。





私が本当に好きなのは、美保だ。





「奥手なのはどっちだよ、ほんと…。」





親友として接してくれていた美保にこの気持ちを伝えたら、きっともうこの心地いい関係には戻れない。そう思ったら怖くて、結局言うことが出来なかった。





誰かと付き合ったらこの気持ちも消えるかもしれないと思ったのに、むしろ想いは増すだけだった。





「翔にも迷惑かけたなぁ…私の勝手な事情で付き合って、別れて。カワイソーな奴。」





美保の席に着いて、机に突っ伏しながら開いた窓の外を眺める。もうそろそろ、何もかもが終わるんだろうな。





「美保…。」





空が綺麗に染まる。髪を撫でる風は激しさを増していく。苦しくなってくる心臓は、この異常のせいか、私のせいか。





「…またね。」





私は空に腕を伸ばして、最期の日を終えた。

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最期の日 ほの @hono0218

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