六月二十四日
ネットでずぼら飯を調べ続けて、インスタントラーメンにもやしを足すところから始めようと決意し(実際それすらまともにできるか怪しかった)、もやしを買って帰ったら彼女に怒られた。
「もやしって傷みやすいんだよー、ちゃんと使い切れる?」
冷蔵庫の中には彼女が買ってきて綺麗に冷凍保存されたもやしが眠っていて、それも冷凍するから、こっちから使って、と彼女は俺の手からもやしの袋を奪った。
安いからで何でも買っていいわけではないらしい。もやしが傷みやすいなんて、ずぼら飯ブログは教えてくれなかった。さては、もやし農家の手回しか。
「どうしたの、家でごはん食べる気になったんだったら作ろうか? 一人分も二人分も変わらないし」
「いや」
そうじゃない。
「自分でやる」
そう? と首を傾げる彼女に、台所、使っていい? と、数日来の申し出をようやく告げると、予想通り、いいも何もふたりの家でしょと笑われた。
結婚記念日に楽をさせてあげるなんてのは夢のまた夢だった。
風呂掃除ができるようになるまでで時間掛けすぎじゃないのかな、と俺は手の中の凍ったもやしに心の中だけで問い掛けた。
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