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人体学の本の後ろに差し込んであったファイルを抜き、ペンでその数字を書き換える。きっと気がつかれた。だからああいう決断に至ったのだろう。
申し訳なさと不甲斐なさに、腹がたつ。
家族に迷惑をかけるだけなら、生まれてこなければよかった。
俺はきっと、生まれてきた意味なんてない。
強いて言えば、姉がもっと強くなるため、父が仕事を息子が死んだことに比べれば何倍もましだと思えるようになるため。俺がいるせいで試合に負け続けた奴が自信をつけるため、いじめをしている奴らが、もしかしたらいじめてる奴も死んでしまうかもしれないと考えられるようにするため。
元カノが悲劇のヒロインとして持ち上げられるため、アンドロイドが自由になるため。
はいでいた布団を掛け直そうとして、閉じている瞳からボロボロと涙が溢れている光景に、体が動かなくなった。
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