【更新無期停止】私的な詩的な指摘

【シアワセの扱い方】

【シアワセ（しあわせ）の扱（あつか）い方（かた）】

シアワセは歩いてこない

だから誰もが必死で追い求める

目指して走り転んで起きては走り

走って走ってまた転んでは起きて走る

前へと進まなくてはシアワセは見つからないらしい

シアワセは訪ねてこない

だから時には先を行く人を押し退けて進む

転んでいる人は見て見ぬふりをして

ただひたすらに前へ前へと進み続ける

諦めて立ち止まる者にはシアワセは掴めないらしい

シアワセは勝ち取らなくてはならない

だから他人を蹴落として上へと向かう

弱者という名の踏み台を積み上げて

果てしなく遠い彼方で霞む目的地を目指す

シアワセは遥か天の上から弱者を見下ろしているらしい

歩みを止めないシアワセの追求者よ

あなたに訊いてみたい

そうして歩んだ人生（みち）の中にシアワセはいたのかい？

他人を押し退け蹴落とし踏み躙（にじ）り

裏切った果てにシアワセは微笑みかけてくれたかい？

シアワセは歩いてこない

シアワセは訪ねてこない

だからシアワセを追い求めるのだろう

だけどきっと

シアワセは奪い合いでは得られない

シアワセの追求者よ

あなたが勝ち取ったのは真実（ほんとう）にシアワセなのか？

あなたが奪い取ったのは真実（ほんとう）にシアワセなのか？

あなたは真実（ほんとう）にシアワセを追い求めていたのか？

もしかしたら

ただひたすらに他人へフシアワセをばら蒔いただけなのかも知れないぜ？

時には立ち止まって自分の周囲（まわり）を確かめてみたらどうだ？

ひょっとしたら直ぐ近くに

あんたの求めていた真実（ほんとう）のシアワセってやつが膝を抱えて踞（うずくま）っているかも知れないぜ？

もしシアワセを見つけたら

そっと抱き締めてやろう

そしてやさしく手放してやろう

自分だけのシアワセを追い求めるよりも

自分のシアワセを他人に少し分けてやろう

シアワセの扱い方なんてのはそんくらいで十分なんじゃないか？