◇第23話◇まっくら森の中

 泣きたい時は泣いて、

 怒りたい時は怒って、

 心の底から、まっすぐに笑う。


 ありのままでいい、

 そうすればいいんだよ、と

 色々な人から何度も言われた。



 ああ、

 できたらいいのになぁ。

 それができたら、どんなにいいだろう。


 多分、誰よりもわたし自身が、

 そうしたいんだ、と悲鳴のように心で叫んでる。



 そんなの自分次第で、どうにでもなるって?

 そうだよね、みんな当たり前にそう考える。


 でも長い年月、

 そうしようとする度に、

 次の”何か”がやってきて、

 その必死の闘いの中で、

 ひとつ、またひとつ、落っことしていって、

 わたしは、わたしを守りきれなかった。



 わたしを守りきることはできなかったけど、

 こんなわたしでも、守りたいものはある。


 へっぽこでも先頭にいるわたしが、 

 ぐちゃぐちゃのジブンを曝け出してしまったら、

 わたしの後ろにいる子供たちはどうなる?


 それでなくても、

 垣間見せてしまった姿でも動揺させてしまうのに。



 だからまだ、わたしはこの姿で闘うの。

 闘うなんてカッコイイもんじゃないし、

 このやり方が正しいとも思わないけど。



 それでも与えられた命がある限り、

 どんな、まっくら森の中でも、生きることを止めるわけにはいかないんだ。 


 ……だから、だから、ね。


 ◆◆◆


 2.3日前から足が痛いといっていた末っ子が、今日になって、とうとう足を引きずりだしたので、今から病院に連れていってきます。


 気弱になっている自分はこういう時、パニクってしまいそうになるからいけない。

 でも、心配で堪りません。


 誰だって、まったく何も無い日の方が珍しいんだろうけど、それでも大きなことに繋がるなんて思わずに、当たり前のように毎日を過ごしている。


 明日は希望だけど、明日が怖くもある。

 明日生まれるものも、明日壊れてしまうものもあるから。



 それでも、


 明日が希望の日だと思ってなきゃ。

 明日に何度も叩きのめされたわたしだけど。


 どんな姿になっても、


 手放さないと決めた誓いが、ある。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


*この頃のこと*


だいぶ息子たちも大きくなっていた頃ですが、次男や末っ子は、まだ病気やケガと、なかなか縁が切れない時で、どれだけ心配したか、わかりません……。

次から次へと……なんで?と泣きたくなるような日々が続いていました。


そんな中、長男が、わたしを懸命に支えて助けてくれていたことが、どれだけ救いになっていたことか……。

今でもですが、気持ちの優しい子です。

改めて……お兄ちゃん、本当にありがとう。

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