第11話 村の現状



「長老!!!」


(毎回心臓に悪いぜこの人、いつの間にか後ろに居やがる)


ナオキ「肥料ってどういうことですか?」


長老「この土地はな10年以上前の魔物との戦争の際に食料基地として使われていたんじゃ」


「食料基地?ならこの土地はそれほど豊かだったということですか?」


長老「いや、そうでもない。ただ可もなく不可もなくといった具合じゃ、じっさい土地の広さで収穫量を上げていたからのう。ただ、植物学者の転生者が当時の国から派遣されてきた時にそれは変わった」


「当時の国?帝国ではないのか?」


長老「帝国とは違う、神霊と繋がる国じゃ。彗星のごとく現れ魔物と対峙して人々を救い、この世界を統治した国……故に名前は無いのじゃ」


「名前の無い国……それが転生の儀を盛んに行っていたのか」


長老「そうじゃ、話を戻すぞ、とにかくやつらは効率の良い食料生産のため成長を促進する肥料を調合して使い始めたんじゃ。すると虫に食べられることなく作物はよく育った……ただ、収穫前に大きな実をいくつもつけてほとんど枯れるようになったがの」


「そんな肥料使って大丈夫なんですか?」


長老「大丈夫なわけがない、少なくともこの土地には合わなかった!作物と引き換えに土地が汚染されたようなものだ!この土地にも少なからず霊脈は通っている。土地の汚染は先祖の霊につたわり、霊たちは何とか毒をだそうと奮闘した!だがそれも神霊を従えた彼らに抑えられてしまった……そうして土地は何年も汚染され続け、その蓄積された毒は戦争の終結に伴う神霊の現世からの撤退を期に再び溢れだした。もう神霊はほとんどいないから今更抑えることもできん、それにこれは毒を大地から出すために起きているゆえ、むやみに止めることも得策では無い。だからこうして生活しているのじゃ……」


「そんな土地でそだてた作物は大丈夫なのか?」


長老「先祖の霊は毒を大地から出すが、子孫であるワシらのために作物からも毒を除去してくれているかのう……土地を完全には使えない分、良い実は作れんが儂らにはありがたいことじゃよ」


「そうですか……」


(………水と土の浄化か……さてどうやってやるかな………いや一つ可能性はある!自然に近いやり方で浄化する方法が!)


「……長老、一週間ください!私に一つ考えがあります!」


長老「?何のじゃ?」


「まずはこの畑と水を浄化します!」


「!!!!」


ナオキ「おいおいおい!正気か!?お前の力でもそんなこと不可能だろ!そもそも使いこなせてないじゃないか!」


「だから一週間いるんだよ、大丈夫!応用の余地がいくらでもある能力だからね」


長老「何をする気か知らんが、この土地に蓄積した毒はお主が思っているより多いぞ?能力で毎回浄化するようでは意味がない。持続性のある解決策でないとやるだけ無駄だぞ?」


「わかってるよ、とにかく一度やらせてくれ」




そういっておれは長老から許可をもらい、翌日からさっそく浄化計画を開始した


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