第20話 インターミッション④

 再び、老人は携帯を確認するが、特に返信はなかった。そんな老人を見ながら、殺し屋の男は決心したかのように言う。


「よし、今日はやっぱり飲むぞ!」


「体調は大丈夫かね?」


「一杯くらいでは死なんでしょう。それにせっかく楽しくお話しているのに飲まないのはもったいない!」


 と男は言った。「おすすめは?」と聞いてくるので、持っていたグラスを掲げると、バーテンを呼び、「横の人と同じものをくれ!」と注文した。


 バーテンが準備に取り掛かる中、男はこちらを笑顔で見て、


「前にいつ飲んだかもう覚えていないよ。」


 と言い、酒が来るのを楽しそうに待っていた。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る