第33話
「くっ…」
女性陣が苦虫を噛み潰したような表情をしていると少年が女性陣を庇う様に入り込んでくる。
「僕の名前はテンドウ・リューイチ。
アルテミス聖国に召喚された勇者です。
彼女達をイジメるのはやめてください、大人のすることじゃありませんよ」
なるほど、この少年がそうだったか。
それにしても外見もそうだが、中身も若いな。
「別に私は彼女達をいじめて等いない、ただ私の思った事と事実を言ったまでの事。
リューイチ君と言ったか、君はこことは違う世界から来た様だが随分と甘い環境で過ごしていた様だな」
「貴方みたいな女の子を苦しめる様な人がいる世界ではなく、立派な大人がいる平和な素晴らしい世界でしたよ。
皆が笑い合い、幸せな表情をしていました。
僕はこの世界も僕がいた世界の様に皆が幸せに暮らせる世界になるように戦っています。
それが力を貰い、召喚された僕の使命だから」
このリューイチ君の頭の中にはさぞや立派な花畑が広がっているのだろう。
それはとても美しい造花なのだろうな、ここまでくるともはや国宝級かもしれん。
親の顔と子育て方針は解らないが、どのような子育てをしてこの様な子供が出来上がるのか気になる所だ。
きっと反面教師としては最高の教材になるだろう。
「君がどんな環境で育ってきたのかには非常に興味深い所ではあるが、君達がする事はハッキリしている。
店と君が手を出してしまった者達への謝罪だ。
誰の目にも解る形で迷惑がかかっている。
片方に関しては怪我もしているのだ。
君のいた世界の立派な大人達の様になりたいのなら誠実な対応をする事をオススメしよう」
私はそろそろ帰りたいので店を出ようとすると私に情報を沢山くれた自称貴族の女性に腕を掴まれ、引き止められた。
「我が国の中傷のみならず、我々への侮蔑の数々…もう我慢なりません!
私達は貴方に勝負を申し込みます!」
この女は一体何を言っているのだろうか?
凡才サラリーマン、チートを使わず異世界満喫旅行記 シーク @seek
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