第31話
二組の言い分をまとめるとこうだ。
少年側
・自分がトイレから戻って来たら自分の連れ合いである女性が見知らぬ男に絡まれていたので守っただけである。
・女性は明らかに嫌そうな顔をしていたので、何か良からぬ事をされるのではと思ったので反射で手が出てしまった。
男性グループ側
・見るからにこの場所に釣り合わない服装の女性が二人組だけで居るのは怪しく思ったものの、やはり心配になり声をかけた。
・話をするも高慢な態度を取られたり、拒否が強かった為話が通じなかった。
・諦めて何があっても自己責任であると忠告した直後に少年が仲間を殴り倒した。
「どちらも真実を言っていると考えるなら少年側が悪いだろう」
何せきちんとした事実確認をせずに先に手を出しているのだから。
どちらも真実を言っている確たる証拠はないが、先に手を出したのは少年側だ。
連れ合いの女性を守る為と言ったが、何も手を出す必要はない。
間に割って入り、話し合いをした後に店から出れば良い。
「どちらも真実を言っている証拠は無いが、受けた被害としてどちらが酷いかは見れば解る。
何故そこまでする必要があったのだ?」
「それは向こうが先に手を出して来たから…」
「連れ合いの女性が暴力を振るわれた形跡はないし、怪我の類もないようだが?」
「でも彼女達は嫌そうな顔をして!」
「それで暴力を振るうのが許されるとでもいうのかね?
それが君の国で許されていたのなら随分と過激な国から来たのだな」
私と少年が話し合いをしていると段々と苛立ったのか、女性陣がみるみる顔を険しくしているのが見えた。
二人の女性の内、気品のある服を着ている女性が話に割って入ってきた。
「貴方…私達の祖国を馬鹿にしているのですか?」
「馬鹿にしているのではない、事実を言っているにすぎない。
そんな法律がまかり通る国が過激でなくて何だと言うのだ?」
煽る様な言葉を連発してしまっているがこれも情報を得る為。
今の私は圧倒的に情報不足だ。
何せこの星の名称すら知らず、この街の名前位しか知らない。
大切な情報源だ、存分に搾り取らせて頂こう。
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