第29話
最後に会ったという場所はそんなに離れてはいない。
もしかするともうこの街に着いているかもしれないな。
しばらくは拠点をこの街にし、様子を見るとしよう。
特徴は私と同じ黒目黒髪、周りに女性を侍らせているだったか。
大所帯なら時間もかからずに見つかるだろう。
もし、人数が少なかったとしても目立つのは変わらないので噂の一つや二つは流れるだろうから、そこに行って情報を集めれば良い。
今日の所はギルドから帰って宿を探すとしよう。
宿を取った後は何処かで一息入れて情報の整理をしたい所だ。
仕事を依頼されたが、同時にそれ以外は好きにして良いと言われたのだ。
紅茶でも飲みながらゆっくりする時間があってもいいだろう。
願わくばこの世界にも紅茶があれば良いのだが。
「今日の所はこれで失礼させて頂きます。
今から宿を確保しなければいけないので依頼に関してはまた後日伺います」
ギルドマスターに挨拶をし、ギルドを後にする。
オススメの宿を聞いても良かったかもしれないが、何も知らない状態で街を散策し、気に入った宿を見つけるのも楽しいものだ。
雰囲気の良いカフェでもあったら是非寄りたいのだがあるのは居酒屋っぽい酒の注がれたジョッキの看板ばかり。
この世界の人間の肝臓は大丈夫なのだろうか?
思考を切り替えて宿探しを再開したが何件か見つけた宿は満室だと断られてしまった。
どうしたものか?
仕方ない、今日は情報収集に徹する事にしよう。
時間はほぼ日が暮れる寸前。
居酒屋が賑やかになって来た頃合いだな。
目についた居酒屋に入ると中には黒目黒髪の少年と、その両脇に女性が二人。
床に倒れた複数の男達と怒りを露わにしているギャラリー。
何やら面倒な予感がし、頭が痛くなってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます