第28話
それから数時間後、ギルドマスターと共に目覚めた彼がこちらに来た時には体力と魔力切れの者達が訓練場に転がって死屍累々となっていた。
「なんだ、こりゃあ。
一体何があった?」
ギルドマスターが戻って来て遭遇した惨状に困惑している。
無理もない、私だって知っていなければ似たような場面に遭遇したら困惑するだろう。
「私に聞かれても困るが、おそらくは体力切れと魔力量が底をついたのではないだろうか?
私と同じ様に素振りや魔法の練習をしていたのは確かだ」
「俺は確かやり過ぎるなと言ったはずなんだけどな…」
「それはそこに倒れている者達に言って欲しいな。
私にしてみればこれは準備運動の様なものに過ぎない」
言いながらファイヤボールを縦横無尽に操って見せる。
ギルドマスターは溜息をつき、後ろにいたビリー君を前に出させる。
「ほれ、こいつに聞きたい事があるんだろう?
さっさと終わらせてケリつけてくれ」
「そうさせて頂こう。
ビリー君、君に聞きたい事がある」
「俺は勝負に負けた身だ、何でも喋ってやるよ」
彼と手合わせしたからこそ解る不可解。
彼の本来の性格は粗暴なものではない、しかし私にした事はそれとは全く逆なもの。
何かそうなるきっかけがあったのは明白だ。
それに加えて試合の中で出てきた『こんなオッサンなんかに負けてる場合ではない』という言葉。
それから導き出される答えは…。
「君はこことは異なるギルドで何かを目撃したのだろう?
例えば…君よりも若い人間が年齢にまるで見合わない力を手にし、奮っている現場を見た。
それも私と同じ黒目黒髪だったのだろう?」
彼の目を見開いて驚く姿を見て確信した。
私の推測は当たっている、そしてそれに関しては私の仕事の領分である。
「その反応でほぼ何があったか解った。
その人間と出会った場所を教えてくれないか?」
「ここから少し離れた所に小さな村があるんだが、そこで出会った。
周りに女を
「もう一つ質問、というか確認だが。
その男の名前は?」
「確かテンドウ・リューイチとか言ってたな」
テンドウ・リューイチ、名前の響きからして日本からの転生者だろうか?
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